7月の映画

 

 ☆は五つ星が満点。映画製作の現場を長年取材している筆者の独断と偏見に基づき評価した。

 

「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」(6月29日公開)☆☆☆

あくまで別物として楽しむべき

 ルークとレイアと出会う以前の、若き日のハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)の知られざる姿を描く。旧作のファンにとっては、相棒チューバッカや、悪友ランド・カルリジアン(ドナルド・グローバー)、そしてミレニアム・ファルコン号との出会いのエピソードが興味深い。もちろん、ソロの幼なじみの謎の女性キーラ(エミリア・クラーク)、ソロの師となるベケット(ウディ・ハレルソン)など、新たなキャラクターも登場する。

 もともと「スター・ウォーズ」シリーズの根底には黒澤明映画や西部劇の要素があるのだが、本作も、華麗なガンプレーをはじめ、さすらう主人公、師の存在、友情と裏切り、“宝”の奪い合い(列車強盗)など、黒澤映画や西部劇を思わせるところがあって楽しい。

 ただ、やはりハン・ソロ役はハリソン・フォードのイメージが強過ぎるので、乗り切れないところがあるのは否めない。これはあくまでも別物として楽しむべきという気がした。

 

「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」(6月30日公開)☆☆☆

実在の外交官の知られざる事実とは

 米国政府と米軍による理不尽な沖縄占領と闘い続け、本土復帰に尽力した実在の外交官・千葉一夫(井浦新)の知られざる事実を描く。NHKのBSドラマを劇場用に再編集したものだが、戦後の沖縄の側面史的な趣のある映画に仕上がった。

 英語のせりふでも頑張った井浦は、映画館で上映されることについて「どんなドラマでも映画化されるわけではない中、なるべき作品が映画という形になった。映像作品は映画館でしか見ないという方たちにもちゃんと伝わる作品になったし、映画館で上映されることで、より多くの人たちに見てもらう機会が得られる。映画館であの戦闘機の音を聞いたら、皆さん何かを感じずにはいられないはず」と語る。

 井浦や、屋良朝苗元沖縄県知事役の石橋蓮司の他、佐野史郎、尾美としのり、先ごろ亡くなった大杉漣らが、実在の人物を好演。また、仲代達矢がナレーションを担当したことで、かつての社会派映画やドラマをほうふつとさせる効果を得た。

 

「ジュラシック・ワールド/炎の王国」

(7月13日公開)☆☆☆

オリジナルへの回帰的な側面も

 前作「ジュラシック・ワールド」から3年後が舞台。恐竜たちが放置されたままのイスラ・ヌブラル島の火山が噴火の兆候を示し始める。恐竜たちを見捨てるのか、保護するのかの議論が行われる中、オーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、再び島を訪れるが…。

 3部作の中間作。バイオテクノロジー発達の功罪、クローン、動物との共生などをテーマに、恐竜を復活させるという“パンドラの箱”を開けてしまった人間が、どう収拾をつけるのかを描くという点では、マイケル・クライトンとスピルバーグが創造したオリジナルへの回帰的な側面もある。

 前作の監督で、今回は製作・脚本に回ったコリン・トレボロウは「よりダークなテーマを扱った」と話し、製作のスピルバーグは「恐竜とモンスターを掛け合わせたハイブリッド映画」と語るが、その半面、オーウェンとクレアの掛け合いは往年のスクリューボールコメディーのようで楽しい。

 

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス」(20日公開)☆☆

老ミュージシャンたちのその後は…

 米ギタリストのライ・クーダーとキューバの老ミュージシャンたちとの演奏を中心に描いた音楽ドキュメンタリー「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の18年ぶりの続編。彼らの“その後”と、アディオス(さよなら)ツアーの模様を描く。

 独特のリズムを刻む彼らの音楽は相変わらず魅力的に響く。そんな彼らの音楽は、CDや前作映画を通してブームとなったが、ボーカルのオマーラが「みんな悲惨な歌詞の意味を知らないでしょ」と懐疑的に語るシーンが印象に残る。

 今回は、演奏やコンサートのシーンに加えて、彼らの個人的な歴史、ひいてはキューバの歴史を掘り下げて見せていく。そんな中、メンバーが次々に亡くなっていく現実には胸が痛む。ただ、全体の構成や、編集の凝り方、やたらとアングルを変えるカメラワークなどに、かえって盛り上げようとする作意が見えて鼻につくところがあるし、テンポも悪い。劇映画とドキュメンタリーの境界線について考えさせられた。

 

「未来のミライ」(20日公開)☆☆☆ 

不思議な庭での時空を超えた冒険

 4歳の男の子、くんちゃんに妹ができる。ところが、両親の愛情を妹に奪われたと感じたくんちゃんは、ミライと名付けられた妹の存在を素直に受け入れることができない。そんな中、くんちゃんは不思議な庭で、未来の妹、人間化した愛犬、幼い頃の母、若い頃の曽祖父と出会い、時空を超えた冒険を通して成長し、妹を受け入れていく。

 細田守監督のアニメーション映画最新作。親子の相似、家族の絆が築かれていく様子、少年の通過儀礼、人生のループなどがテーマのファンタジーだが、監督自身の体験に裏打ちされたとも思える、日常の細やかな描写やせりふなどから、夫婦関係や子育ての“あるある映画”として見ても面白い。

 初めて兄弟ができた時、初めて自転車に乗れた時、自分はどんなふうに感じたのだろうと、過去の自分に聞いてみたくなるような映画。年を取るとこういう映画はとても切なく映る。甘く切ない山下達郎のエンディング曲「うたのきしゃ」も心に残る。

(映画ライター 田中 雄二)

 

 たなか ゆうじ 1961年生まれ。著書に「人生を豊かにするための50の言葉~名作映画が教えてくれる最高の人生の送り方~」「外国映画女優名鑑」などがある。

 


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