4月の映画

 

 ☆は五つ星が満点。映画製作の現場を長年取材している筆者の独断と偏見に基づき評価した。

 

「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」(4月6日公開)☆☆☆

イメージギャップを生かした変身が面白い

 謎のボードゲームの中の出来事が現実に起きてしまう様子を、特撮満載で描いた「ジュマンジ」を、装いも新たに再映画化。前作の「ボードゲームの中のものが現実世界に飛び出してくる」という設定から、今回は、古いテレビゲームをプレーした4人の高校生が「ゲームの中に吸い込まれてしまう」という形に変化した。

 彼らがゲームの中のアバターと同化。気弱なゲームマニアが筋骨隆々のドウェイン・ジョンソンに、インスタグラム大好きの少女が中年男のジャック・ブラックに、ガリ勉少女が女戦士のカレン・ギランに…という、イメージギャップを生かした“変身”の面白さが見ものとなる。なよなよしたジョンソンや乙女チックなブラックが妙におかしい。

 ロビン・ウィリアムズが主演した前作は、父と子の絆や幼なじみ同士の恋を根底に描いていたが、今回は「ブレックファスト・クラブ」を思わせる、1980年代の青青春学園ドラマをサイドストーリーとしているのも楽しい。

 

「きみへの距離、1万キロ」(7日公開)☆☆☆

ロボットが仲介する遠距離恋愛劇

 米デトロイトに暮らす孤独な青年ゴードン(ジョー・コール)は、ロボットを遠隔操作して北アフリカの砂漠にある石油パイプラインを監視する仕事をしている。ある日、彼はモニターに映った訳ありの若い女性アユーシャ(リナ・エル・アラビ)に心を奪われ、やがて彼女の姿を追うことが生きがいになっていく。

 中盤、ゴードンがモニターを通して知り合った迷子の老人に「運命の相手を知る方法は?」と尋ねると、老人が「相手のうなじの匂いをかぎ、キスをし、愛撫(あいぶ)をすれば分かる」と答える印象的なシーンがある。相手に思いが届かない、触れることもできないゴードンにとっては反意的とも思えるこの言葉が、実はラストシーンで反すうされるところが本作の勘所となる。

 また、本作は、クモのように動くロボットに恋の仲介をさせることで、ゴードンのストーカーまがいの行為を緩和し、ファンタジー色を強めることに成功している。ただし、アユーシャの行動がわがままに見えるところが惜しい。

 

「さよなら、僕のマンハッタン」(14日公開)☆☆☆

皮肉とほろ苦さを含んだ青春物語

 舞台はニューヨーク。大学卒業後の人生に迷うトーマス(カラム・ターナー)が、不思議な隣人(ジェフ・ブリッジス)と、父の愛人(ケイト・ベッキンセール)との出会いによって、大人になっていく様子を描く。「卒業」(67年)とウディ・アレンの諸作を混ぜ合わせたような、皮肉とほろ苦さを含んだ青春物語だ。

 原題の「ニューヨークの少年」は、サイモン&ガーファンクルの曲から取られている。この曲はポール・サイモンが、メキシコで映画の撮影中だったアート・ガーファンクルに向けて書いたもので、ニューヨークに1人残った心境が歌詞に反映されている。曲の出だしで「トム」と呼び掛けるが、これはガーファンクルのことなのだ。

 本作は主人公をトムと名付けることで、曲との関連性を明示し、「なるほど」というシーンでこの曲を流す。映画のシニカルな内容もさることながら、同じくサイモン&ガーファンクルの曲を使った点でも「卒業」をほうふつとさせる。

 

「女は二度決断する」(14日公開)☆☆☆

クルーガーが入魂の演技を見せる

 ドイツ・ハンブルグの外国人街で時限爆弾による爆発が発生。ドイツ人のカティヤ(ダイアン・クルーガー)は、トルコ系移民の夫と息子を同時に失う。事件は在住外国人を狙ったドイツ人の右翼によるテロと判明するが、容疑者をめぐる裁判はカティヤの思うようには進まない。やがて彼女はある決断を下す。

 実際に起きたネオナチによる連続テロ事件に材を取った力作。クルーガーが入魂の演技を見せる。監督は「ソウルキッチン」「消えた声が、その名を呼ぶ」のファティ・アキン。自身がトルコ移民のドイツ人として抱いた怒りやつらい思いを、主人公のキャラクターに反映させたという。

 同じく、子どもを殺された母の怒りを描いたアメリカ映画「スリー・ビルボード」と同時期に、ドイツでもこうした映画が作られたのは果たして偶然か、必然か。ただ「やはり、こうなるのか…」という厳しい結末は、正直なところ、われわれ日本人には理解し難いところもある。

 

「レディ・プレイヤー1」(20日公開)

☆☆☆☆

素晴らしきお子様ランチ映画の集大成

 2045年、街は荒廃し、若者たちは、想像したことが現実となり、何者にでも変身できるバーチャルな世界「オアシス」に熱中していた。そんな中、オアシスの開発者ハリデー(マーク・ライランス)が死去。オアシス内に隠した宝の卵を見つけたものに、大金とオアシスの権利を与えるという遺言が配信される。

 仮想現実内で繰り広げられるトレジャー・ハンティングの冒険を描いたスティーブン・スピルバーグ監督作。スピルバーグの映画を見て育った原作者が書いた小説を、スピルバーグ自身が映画化するという奇跡の合作が実現。それ故、見る者をドキドキワクワクさせる面白さに満ち、温かくて、ユーモアもある、“素晴らしきお子様ランチ映画”を作り続けてきたスピルバーグの集大成とも言えるものになった。

 ハリデーが思い入れる1980年代のポップカルチャーネタと、スピルバーグの旧作映画への思いが共存しているのが見どころだ。元ネタについて誰かと話し合いたくなる。

 

(映画ライター 田中 雄二)

 


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