現場の救世主になり得る? 期待の介護ロボット

 介護ロボットは、増加する介護需要に対して人手に代わるものとして期待されているが、現場での評価は必ずしも高くない。入浴や食事といった被介護者(以下、利用者)を援助する「直接援助」分野でのロボットへの代替が困難だからだ。介護現場で今取り組むべきは、記録などの管理業務や、清掃など利用者と直接接しない「間接援助」の効率化であり、介護従事者(以下、介護人)が「直接援助」に専念できる環境づくりにある。

 

 ロボット大国といわれる日本で、最近注目を集めているのが介護現場でのロボットだ。厚生労働省「介護ロボット関連施策の動向」(2017年10月)によると、総人口に占める75歳以上の高齢者の割合は、16年には13・3%(1691万人)であったものが30年に19・2%(2288万人)と増加が見込まれている。

 高齢化に伴う介護需要については、要介護(要支援)の認定者数は16年4月時点で622万人で、00年と比べ2・85倍だ。これに対し、介護職員は183万1千人(15年度)と00年度比3・3倍だが、需要とは依然乖離(かいり)があり、20年代初頭には需給のギャップが約25万人に上ると予測している。

 

高い女性の比率

 

 介護人も15年度調査時点で非正規職員が占める割合は、介護職員(施設など以下同じ)では40・4%、訪問介護員では77・1%。年齢構成も介護職員については30~49歳が46・4%であるのに対して、訪問介護員では60歳以上が約3割を占めている。また、女性の比率が介護職員では74・2%、訪問介護員では89・6%と高いのが特徴である。そこでにわかに注目されているのが、介護ロボットである。

 ロボットの定義は「情報を感知(センサー系)」「判断し(知能・制御系)」 「作動する(駆動系)」という三つの要素技術を有する知能化した機械システムとされている。これらのロボット技術が応用され、利用者への自立支援や介護支援の負担軽減に役立つ機器を介護ロボットと呼んでいる。

 介護ロボットは、介護人が機器を装着するパワーアシストなどの「移乗支援」、歩行アシストカートなど利用者の歩行を補助する「移動支援」、排せつを感知し自動で汚物処理を行う「排せつ支援」、徘徊(はいかい)感知器、利用者の行動や状態をセンシング機能により感知し適切な介護支援につなげる「認知症の方の見守り」、入浴の際に利用者や介助者の補助を行う「入浴支援」、認知予防も含め利用者の外部とのコミュニケーションを促進する「コミュニケーション支援」などに分類される。

 現場での介護ロボットの評価はどうであろうか。筆者の職場である東北医療福祉事業協同組合は、東北地方を中心に回復期の病院と介護施設を運営する15の法人で構成されている。

 この各法人で介護ロボットの試験的運用を国の「介護ロボット等導入支援事業特別交付金」を活用して17年3月までに導入(介護ロボット10種、約100台)した31事業所で介護ロボット導入効果についてアンケートを昨年実施した。

 調査結果を分析したところ、介護ロボット導入効果が「あり」「大いにあり」が全体の33・3%にとどまるという結果であった。

 導入機種別にみると歩行アシスト(移動支援)については効果あり、大いにありが46・7%、同様に、ベッドセンサー(見守り)は39・6%を占めるのに対し、介護者が使うアシストスーツ(移乗支援)は5・6%にすぎなかった。導入機種によっても評価のばらつきはあるものの、介護ロボットに対する現場の評価は全体的には必ずしも満足できるものではない。

 

「間接援助」に人手をかけない

 

 介護現場での人手不足や高齢化の状況下で、介護の現場では今何を効率化すればいいのか、また利用者やその家族の皆さんが安全で安心して満足していただけるのであろうか。介護の現場は人と人の関係性が極めて重要といわれているが、その点からすると、現在の介護ロボットのレベルでは、利用者への直接的な援助については、介護人の補助的な利用に限られざるを得ない。

 介護ロボットの活用についてはその信頼性、使い勝手などの改善や開発を現場との対話により急がれる一方、介護現場で今取り組むべきは「間接援助」分野の効率化から着手することだ。施設により差はあるがこの「間接援助」が全業務の25~40%まで占めており、かつ介護報酬算定対象外の業務が多く、この分野にはできるだけ人手はかけられない。

 例えば、利用者と接触しない作業である清掃をロボットに代替させることや、介護記録の音声自動入力などで業務を効率化し、まず介護人が利用者のケアに専念できる環境を整備する。

 これによって、利用者へのサービス向上はもちろん、業務量の削減を図ることができ、さらにはこの効率化と省力化によって1人当たりの付加価値額・生産性の向上が実現し、介護施設の経営基盤の強化につながるといえよう。

 

[筆者]

東北医療福祉事業協同組合参与

青山学院大学経済学部非常勤講師

植嶋 平治(うえしま へいじ)

 

(KyodoWeekly4月16日号から転載)


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