パンのペリカンのはなし

 

渡辺 陸 著

  • 230ページ
  • 二見書房(税別1500円)

 

独自のスタイル貫く

 

 東京の台東区、田原町にある「ペリカン」という名のパン屋をご存じだろうか。今年で創業76年を迎える人気店だ。

 町のパン屋は、季節ごとに商品を変え、年間で約300種類のパンを売るのが普通と言われている中、ペリカンが売るのは食パンとロールパンの2種類だけ。

 それにも関わらず、開店前から行列ができ、早い日は開店後数分で完売する。そうでない日も昼ごろには売り切れ、予約なしで買うことはほぼ無理だ。

 1日で売るのは食パン400本、ロールパン4000個。この数字は、ここ数年、銀座や恵比寿に開店した華やかな人気食パン店と並ぶ。ロールパンに至っては、町のパン屋でこれだけの数を売っている店は他にない。

 人気が出ると商品や支店を増やしてもっと利益を、となるのが普通の考えだ。自分自身、とにかく増益しないと上の世代と同じ程度の豊かな暮らしが望めないことを日々痛感している。 しかし、ペリカンはそうはならない。商品を増やすこともデパートに出店することもなく、独自のスタイルを貫いている。

 

不況の時代に強い

 

 今、新しいテクノロジーが次々と誕生しているが、私たちの仕事が楽になることはなく、物が売れることにもなかなかつながらない。「人生100年時代」と言われているのに、人手不足で働いても働いても仕事が終わらない。

 そんなヘトヘトな毎日を送っている私には、2種類しかない商品に自信を持ち、自分たちで決めたペースを長い年月守っているペリカンがすがすがしく輝いて見えた。

 何かヒントをもらえたらと思いながら編集したのが、ペリカンのパン作りと商売の志をまとめたこの書籍である。

 著者のペリカン4代目店主、渡辺陸さんは30歳。45年以上働くパン職人さんと2代目を支えた祖母の教えを受けながら店を切り盛りしている。

 ペリカンの現在のスタイルを確立した2代目は、常々「堅実で地味なパンは不況の時代に強い」と言っていたそうだ。その言葉通りと言うべきか、ペリカンは今が一番売れているとのこと。

 メディアが騒いでも陸さんは常に冷静である。「うちはただの町のパン屋ですから」と繰り返す。

 さらに「利益を求めるだけが仕事ではない、というのがペリカンの考え。単純に人に喜んでもらうというのも仕事の大切な要素であることを忘れてはいけないと思っています」とも語っている。

 地味な食パンが売れないバブルの時代を耐えて乗り越え、守ってきた味とスタイルが今、花開き、確かなブランドになっている。

(二見書房編集部 千田 麻利子)

 


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