「漫画の森」イヌ派、それともネコ派?

 戌(いぬ)年が始まって早くも卯月。今回は動物をテーマにした作品を選んでみた。

 「BEASTARS(ビースターズ)」(1~7巻、板垣巴留/秋田書店)では、キャラはすべて動物の擬人化。肉食も草食も制服を着て2足歩行し、学校に通う設定の物語は、草食のアルパカ生徒が何者かに捕食されるという不穏な事件で幕を開ける。主人公であるハイイロオオカミの少年は、自身のどう猛さを嫌悪しながらも、いざというときに自分を助けてくれる強い肉体と向き合わざるをえない。アナログ描きらしい絵も、ストーリーも骨太な作品だ。

 一方、単行本のカバー下おまけ漫画では、本編とはあまり関係ない小ネタが展開。たとえば「あなたはイヌ派かネコ派か」という問題。広く認識されるイヌネコの特徴に、作品ならではのキャラの性格が加わって非常になごむ。主人公が狼(イヌ)であるだけに虎のキャラ(つまりネコ)が割を食い気味なのも少し笑える。本作は今春のマンガ大賞を受賞。作者は(おそらく作中のメンドリキャラの)被り物姿で表彰された。

 「NYANKEES(ニャンキーズ)」(1~3巻、岡田淳司/KADOKAWA)は、猫が擬人化された作品だが、作風は「BEASTARS」と大きく異なる。

 かつて少年漫画の流れのひとつにヤンキー漫画があった。ケンカと縄張り争いが主たる題材なのだが、ギャグなどはずしの要素を入れやすいこともあり隆盛を誇ったものだ。本作はヤンキーものの超変化球、「町の猫たちを不良として描いた物語」(本編より)である。

 ストーリーは至ってシンプル、作者の凝り性ぶりの大部分はビジュアルに投入されている。劇画調でありながらスタイリッシュに描かれる「不良」たちの迫力はなかなかのものだが、つまるところ彼らは野良ネコだ。

 擬人化のコマとネコのコマが交替で登場する脱力感は、描写がリアルだけに倍加する。キジトラを擬人化する際にはボーダーのシャツを着せ、サビガラは迷彩柄の上着、長毛種はドレッドヘア、ハチワレは前髪ぱっくりとキャラの見た目に工夫を凝らす。さすがの描画力も追い詰められはしないかと余計な心配をしたくなる。物語、作者の姿勢とともに疾走感を味わいたい作品だ。

 「天地創造デザイン部」(1巻、原作・蛇蔵&鈴木ツタ、作画・たら子/講談社)は「万物の神が、生き物を創ろうと思ったけれど面倒になって下請けに出した」という設定。神様の依頼を受け、発想が飛躍しがちなデザイン担当と、生き物として機能するかどうかを検証するエンジニアが丁々発止のやりとりを繰り広げる。1巻現在、残念ながらイヌやネコといったなじみ深い動物は登場していないが、その代わり強烈な「馬派」のデザイナーがいる。

 「高いところの葉っぱを食べられる動物」というお題にはペガサス、「かっこいい武器を持つ動物」にはユニコーン、「海の動物の新種」には下半身が魚の馬(ケルピーというらしい)を提案し、ことごとく却下。結局ペガサスはキリンに、ユニコーンはイッカクという海洋哺乳類に、ケルピーはタツノオトシゴに姿を変えて採用となる。

 ギャグでありながら進化が学べる作品だが、「人間」がどのようなお題から生まれたのかはいささか気になる。続巻を待ちたい。

(漫画愛好家 小岩 くぬぎ)

 

(KyodoWeekly4月2日号から転載)


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