家電の使用状況で認知機能低下を予測 青森市、フィリップスが実証実験へ

事業報告会のパネルディスカッション。左から古濱淑子フィリップス・ジャパン・ソリューション事業本部長、小野寺晃彦青森市長、林博之エナジーゲートウェイ社長、佐々木恵美子コセキ青森営業所長、吉池信男青森県立保健大学長=青森市役所。
事業報告会のパネルディスカッション。左から古濱淑子フィリップス・ジャパン・ソリューション事業本部長、小野寺晃彦青森市長、林博之エナジーゲートウェイ社長、佐々木恵美子コセキ青森営業所長、吉池信男青森県立保健大学長=青森市役所。

 電子レンジやエアコンといった家電の使用状況をモニタリングすることで、独り暮らしの高齢者の認知機能低下を予測しようという実証実験を、青森市、フィリップス・ジャパン(東京)、エナジーゲートウェイ(同)が本年度から始める。認知機能が低下すると身近な家電の使用が減る傾向があることに着目した実験で、5月17日に同市役所で開いた「あおもりヘルステックコンソーシアム」事業報告会で発表。小野寺晃彦市長は「早期に覚知できれば医療サービスにつなげられる」と意義を強調した。

 エナジーゲートウェイの林博之社長によると、家庭の分電盤に設置した高精度センサーと人工知能(AI)により、さまざまな家電がいつ、どのくらい使われたかを分析する。この「家電分離技術」を基に住民の生活リズムや行動を検知し、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を予測するモデルを、2021年9月に開発した。

認知機能低下を予測する仕組み。
認知機能低下を予測する仕組み。

 宮崎県延岡市で国立循環器病研究センターと行った共同研究では、認知機能が低下している高齢者は低下していない高齢者に比べ①電磁誘導加熱(IH)調理器②春と冬の電子レンジ③冬のエアコン-それぞれの使用時間が短い傾向があったという。林社長は「予測精度は60~70%で、さらに高められそうだ。センサーを設置するだけで、本人に負担をかけずに認知機能低下の早期発見につなげられる」と述べた。

 日本における65歳以上の認知症の人は約600万人(20年現在)と推計され、25年には高齢者の約5人に1人に当たる約700万人に達すると予測されている。MCIは物忘れが主な症状で、日常生活に支障はない。しかし、アルツハイマー病が原因のMCIでは半数は5年以内に認知症に進むとされ、早くから予防的な活動や対応が必要とされている。

 今回の認知機能予測サービスは、青森市とフィリップスが市民の健康寿命延伸を目指して19年から進める「ヘルステックを核とした健康まちづくり事業」の一貫。自動車、食品、損害保険などの企業とコンソーシアムを結成し、同市南部に位置し高齢化率や人口密度が全国の市町村の中間値に近い浪岡地区をモデル地区として、事業を展開している。

 20年度から、高齢者や働き盛りのフレイル(虚弱)、生活習慣病の予防を目指し、地区の集会所などに検査機器を搭載した車両で出向いて簡易ヘルスチェックを行う「モビリティを活用した予防サービス」と、訪問看護利用者や独居高齢者のベッドやトイレに設置したセンサーで呼吸、睡眠、トイレ利用時間などを遠隔で見守る「IoTを活用した見守りサービス」を開始した。

体組成計、血圧計、握力計などを搭載し簡易ヘルスチェックに出向くモビリティ。
体組成計、血圧計、握力計などを搭載し簡易ヘルスチェックに出向くモビリティ。
モビリティの内部。
モビリティの内部。

 21年5月には、予防サービスを通じて得られた患者のデータ分析や、見守りサービスの拠点となる「あおもりヘルステックセンター」を市立浪岡病院内に開設。青森県立保健大も予防サービスを学術的に評価し、改善策を提案する立場で参加している。21年度は予防サービスに228人が参加、見守りサービスは15人に提供した。

 認知機能予測サービスは「予防と見守りをつなぐ『発見』という重要なピースを埋め、本事業の拡大に貢献する」(フィリップスの古濱淑子ソリューション事業本部長)という位置付けだ。エナジーゲートウェイはMCI検知とデータ取得、青森市が自治体サービスとの連携や事業性の評価、フィリップスはデータ活用やコンソーシアム参画企業との協業推進に当たる。

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