こども食堂に冷蔵庫を寄贈 ハイセンス社、全国で展開

倉庫を改装したクレエールのレストラン。勉強や遊びにも対応できる
倉庫を改装したクレエールのレストラン。勉強や遊びにも対応できる

 困難な状況にある子どもや大人を支えるため、食事を提供している「こども食堂」が全国に約5,000カ所(NPOむすびえ調べ)ある。食材の寄付を受けたり、ボランティアによる奉仕で成り立っているが、ほとんどの食堂が運営に苦しんでいるという。中国の電機メーカー、ハイセンスの日本法人ハイセンスジャパン(川崎市)では、社会貢献の一環としてこども食堂の支援を決め、2021年秋から全国のこども食堂に大型冷蔵庫を寄贈している。公募を経て寄贈を受けた徳島市のNPO法人クレエール(原田昭仁理事長)を訪ね、こども食堂運営の実情をのぞいた。

障がい者に就労の機会

 2008年のクレエール設立時から関わっている理事の喜多條雅子さんによると、最初は障がい者に就労の場を提供するために、弁当製造から取り組んだそうだ。1日に2食しか売れなかったスタートを経て、最近は300食を売り上げるまでに。徳島港から市内中心部に向かう川沿いにある大型倉庫を借りレストランに改装。事業が安定するにつれ、従業員(障がい者)の給与も上げることができ喜多條さんは「今は全国でもトップクラス」と胸を張る。

 こうして事業を拡大する中で、18年にこども食堂を開設した。現在は平日の午前11時半から午後6時までと、毎月第4土曜日のお昼にレストランを開放。平日で平均20食、土曜日で200食近くを提供している。活動を続ける中で、食べるだけでなく子ども自身にも簡単な調理をしてもらおうと新たに小さな厨房を設け、そこに食材を保管する冷蔵庫が必要ということでハイセンス社の公募に申し込んだ。

小さな厨房が学びの場

 ハイセンス社によると、NPO法人むすびえ経由で第1弾として中四国地区400カ所を対象に募集し、その中から「活動が活発で、応募のメッセージでその熱意が伝わること」を基準に、10カ所を選んだという。

 喜多條さんは、厨房を新設した理由を「ご飯が炊けるようになれば、家でもできるようになり、欠食がなくなる。ご飯があればおかずは簡単でもいい。厨房が子どもの学びの場になる」と説明した。今の時代の話かと一瞬戸惑うが、実際に十分に食事をとれないどころか、歯も磨いていない、入浴もしていない子どもが相当数いるという。困窮世帯の子どもだけを対象にすると誰も食堂に来なくなるため、一般の子も分け隔てなく受け入れている。さらに、食堂に来られない子どもや親のために、300食近くを直接家庭に届けている。

2_寄贈された冷蔵庫がある厨房で調理(中央が喜多條さん)
寄贈された冷蔵庫がある厨房で調理(中央が喜多條さん)

ボランティアの協力は必須

 運営を支えているのは学生や主婦など約50人のボランティアだ。将来は幼稚園教諭が目標という工藤有華さん(大学3年)は、子どもとの接触は学ぶことばかりと言いつつ「自分が住んでいる同じ地域に、こんなに貧しい生活を送っている子どもがいる」ことにショックを受けたという。管理栄養士が志望の北川明日香さん(大学2年)も「安心して何でも話せる大人になるには、子どもとのコミュニケーションがいかに大切か」を肌で感じているそうだ。

 子どもたちは食事に来たついでに、宿題をみてもらったり、受験の相談に乗ってもらったりすることもできる。中学受験の個人指導をしていたのは中学校の元校長という多田耕造さん。おもちゃづくりが趣味で、そこから子どもたちと関わり始めたが、時折、勉強も見ている。「今の受験はレベルが高くて、わたしも学んでいます」と笑顔で話す。人口25万人の地方都市の一角で、多くの人が協力して子どもたちの健全な成長を支えている。

1年間で100台寄付へ

 訪ねた日、こども食堂のメニューはカレーライス。厨房では、小学生の子どもたちがボランティアの大学生と一緒に調理していた。「自分たちの活動が評価され、食材をたくさん寄付してもらえるようになったが、保存が悩みだった。冷蔵庫があると本当に助かります」と喜多條さん。厨房の真ん中に据えられた冷蔵庫も、学びと成長に役立っていた。

 ハイセンス社では今後も全国各地で同様の公募を実施し、1年間で100台を目安に寄贈する予定だ。子どもの居場所活動で大型テレビの要望も多く、製品の選定を広げていくことも検討している。

配膳をする原田理事長
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