5大産地の個性を1本に詰めたワールドウイスキー サントリー「碧Ao」が誕生するまで

「碧Ao」のボトル
「碧Ao」のボトル

 世界5大ウイスキーをご存知だろうか。発祥といわれるスコッチ、アイリッシュから大陸を渡り、バーボンを広めたアメリカン、大自然が生み出したカナディアン、そして今や世界的に評価されるようになったジャパニーズだ。

 それぞれに個性を持つウイスキーをブレンドしたらどうなるだろうか――。そうした発想から生まれたのが、その名もSUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」。サントリーによると、「碧Ao」は世界5大ウイスキー産地の自社蒸留所でつくられた原酒のみをブレンドした、世界初のウイスキーだという。

 それを可能にしたのが、2014年にサントリーホールディングスが、世界で最も売れているバーボンウイスキーといわれる「ジムビーム」を持つ米ビームを買収したこと。それにより、スコットランド、アイルランド、米国、カナダ、日本という5大産地の蒸留所を傘下に持つことになったのだ。

ジムビーム蒸溜所
ジムビーム蒸溜所

「個性を重ねる」ブレンド

 「五つをブレンドしたらどうかという提案があったが、どんな味にするかは誰も言ってくれなかった」――。数量限定から通年販売となったのを機に、11月9日にサントリーが開催した「碧Ao」のオンラインによるブランドセミナーで、「サントリー山崎蒸溜所」(大阪府島本町)から参加したサントリースピリッツのチーフブレンダー福與伸二(ふくよ・しんじ)さんは、開発を巡る苦労について切り出した。

 セミナーでサントリースピリッツの本山峰之(もとやま・みねゆき)ウイスキー事業部部長は「角瓶や響(ひびき)といった今までの『調和』を重視したブレンドから、『個性を重ねる』という新しいブレンドを目指した」と、「碧Ao」のコンセプトを説明した。

②サントリー福與2
福與さん

足し算から引き算の発想

 福與さんは、サントリーの第5代チーフブレンダー。ブレンドはそれぞれの原酒を加えて混ぜるもの。しかし、福與さんは「ジャズとアフリカの太鼓、日本の三味線、バグパイプを混ぜて、いい音楽ができるだろうか」と悩む。トライアンドエラーを繰り返しながら、30年以上ウイスキーを研究してきた福與さんは、発想の転換を思いつく。「ブレンドは足し算でなく引き算もある」。独自の味を持つ5大産地のウイスキーの一つを除いたらどんな味になるか。

グレンギリー蒸溜所
グレンギリー蒸溜所

 オンラインセミナーでも、「スコッチを除いた碧Ao」「アイリッシュウイスキーを除いた碧Ao」など、それぞれ1種類を入れずにブレンドした「碧Ao」と、商品となった「碧Ao」を飲み比べながら説明した。除いたことによって分かる各原酒が持つ風味を確認しながら「ひたすら完成度を上げていって、一つのものを造り上げた」と福與さんはいう。完成したブレンドウイスキーは「それぞれの個性が見える」味になった。

7つの蒸留所の原酒で構成

 5大産地の蒸留所をつなぐ雄大で美しい海に由来して「碧Ao」と名付けられ、日本では2019年4月に発売した。アルコール度数43度、700ミリリットル入り、希望小売価格5,000円(税別)。5大ウイスキーを表現する五角形のボトルも話題となり、今では海外でも16カ国で販売されている(2020年10月現在)。

 「碧Ao」の元になった原酒は、スコッチは二つの蒸留所から「スモーキーモルト原酒」と、麦芽を乾燥させる際にピート(泥炭)をたき込まない「ノンピートモルト原酒」を採用。アイリッシュは「ノンピートモルト原酒」、アメリカンは「ジムビーム バーボン原酒」、カナディアンは「グレーン原酒」、そしてジャパニーズは山崎「シェリー樽モルト原酒」と白州「スモーキーモルト原酒」を使用している。

山崎蒸溜所
山崎蒸溜所

楽しみ方も多様性

 「碧Ao」のお勧めの飲み方について、サントリーはストレート、ロック、水割り、ハイボール、ストレート+加水などすべてを挙げた。それだけ各地域のウイスキーが持つ味わいを兼ね備えているということだろう。

 近年、日本ではハイボール人気を得て、ウイスキーの復権が注目されている。往年のウイスキーファンは「ウイスキーはシングルモルトに限る」という人も多い。スコッチの中のスコッチといわれる「バランタイン」のマスターブレンダーであるサンディ・ヒスロップ氏は、以前のセミナーで「シングルモルトはフレーバー(風味)が集中して楽しめる。ブレンドは多層なフレーバーで、複雑で洗練された丸みがある味になる」と話していた。

 ウイスキーの味を言葉で言い表すのは難しい。サントリーは「碧Ao」の味わいについて「滑らかで甘やかな飲み口。次第にスモーキーなシナモン様のスパイスが感じられる」と表現している。ならば飲んでみるしかない。コロナ禍で忘年会、新年会の開催も難しそうだ。家飲みで5大産地の香りを感じながら味わってみることにしよう。

アードモア蒸溜所
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