人生100年時代、自立して元気に生きるカギは食にあり! 要介護状態予防と、“フランス料理による特別な一食”との接点とは!?

左から田中友規氏、高良康之氏
左から田中友規氏、高良康之氏

■「人生100年時代」、でも、ずっと元気でいられる!?

 「人生100年時代」といわれる。100年間元気に生きることができたら本当に素晴らしいけれど、どこかの時点で介護が必要な状態になってしまったら、自分も支える家族も大変だろう…。そんなことを漠然と考えたことがある人は、特に40代以降の人には少なくないのではないだろうか?

 実際、平均寿命と、健康寿命=元気に自立して日常生活を送ることができる期間には、差が小さくない。厚生労働省の資料をもとに、東京大学高齢社会総合研究機構が作成した「平均寿命と健康寿命の差」(2013年)によると、男性の平均寿命は80.2歳、健康寿命は71.2歳(差は9.0歳)。女性の平均寿命は86.6歳、健康寿命は74.2歳(差は12.4歳)となっている。

■「平均寿命」の中の「健康寿命」を伸ばす取り組み

 人が平均寿命の中で、可能な限り健康に生活できる期間を伸ばそうという取り組みも進んでいる。「要介護状態」に進んでしまう前に、より早く、要介護状態になることへの予防意識を高めてもらいたい―。そんな願いの元に生まれたのが「フレイル」という概念。フレイルとは、「自立して元気に動ける状態」と「介護が必要な状態」の中間の状態で、2014年から日本老年医学会により提唱されている。人は、加齢による身体的な衰えだけではなく、他者との交流の減少や、食べることへの積極的な意欲の低下によっても、少しずつ、要介護状態に進んでいくという。

 特にコロナ禍では、世代を問わず他者との気軽な交流や文化的活動がしにくい状況が続いている。そんな中、要介護状態への予防と“フランス料理による特別な一食”との接点を見出す、「食べること」と「フレイルの予防」に着目したユニークなセミナー(東京ガス主催)が、10月12日、都内の東京ガス スタジオプラスジーギンザで開催された。要介護状態への予防と、“フランス料理による特別な一食”との接点とは!?

■「要介護状態」を防ぐために、食からアプローチ

 今回のセミナーのキーワードとなる「フレイル」の概念や、健康な状態から気付かないうちに少しずつ要介護状態に進んでいく危険性、その防止策について解説したのは、東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員の田中友規氏。フレイルには運動器の機能低下や筋肉量の減少などの「身体的」側面、独り暮らしや社会的孤立などの「社会的」側面、うつや認知機能低下などの「心理的・認知的」な側面があると解説した。一方で、低下したさまざまな機能を回復させられる“可逆性”があるとした。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために出された国の外出自粛要請は、高齢者の生活と健康状態に影響を与えていた。同研究機構が、西東京市の高齢者294人(男性144人、女性150人)に行ったアンケートや、神奈川県平塚市の高齢者134人を対象に行った筋肉量変化のテスト・歩行速度変化の調査では、いずれにおいても、生活の不活発化により、筋肉量の減少や歩行速度の低下が見られる高齢者が少なくなかった。

 田中氏は、「健康長寿の3つの柱」として「栄養(食・口腔機能)」「運動(身体活動・運動など)」「社会参加(趣味・ボランティア・就労など)」を提示。今回のセミナーでは「食べること」に焦点を当て、歯を残す努力をしたり自分に合った義歯を使ったりして「しっかりかむ」、食欲を保つ工夫をし、身体を作る栄養素を含めてバランスの良い食事を「しっかり食べる」、好きな友人や家族と食事を「しっかり楽しむ」という3つのポイントに力を込めた。

調理実演をする高良氏(左端)と説明を聞く田中氏(右端)
調理実演をする高良氏(左端)と説明を聞く田中氏(右端)

■自宅で作れるフレンチメニューで、「しっかりかむ・食べる・楽しむ」を実現!

 セミナーの後半では、「しっかりかむ」「しっかり食べる」「しっかり楽しむ」の3つのポイントが、フレンチメニューの調理実演を通して紹介された。講師は、フレンチレストラン「ラフィナージュ」(東京・銀座)のオーナーシェフ・高良康之氏。

鶏むね肉のポッシェとアマランサス マッシュルームのサラダ仕立て
鶏むね肉のポッシェとアマランサス マッシュルームのサラダ仕立て

 メニューの1つ目は、冷たい前菜の「鶏胸肉のポッシェとアマランサス マッシュルームのサラダ仕立て」。高たんぱく低カロリーな鶏胸肉をしっとりした口当たりに仕上げるための調理のコツを紹介し、取り除いた皮や筋については「ごぼうと一緒に甘辛く煮てさんしょうで風味付けをしてもおいしいですね」など次の料理への楽しみを生み出すコメントも。2つ目の「豚肩ロースのブランケット」は、本来子牛を使う料理を豚肉に替え、白いクリームソースで食べる料理。スーパーで手軽に手に入るとんかつ用の肩ロース肉一口大に切って半日水に浸して血抜きをし、臭みを抜く作業も紹介。「食べ手への配慮の他、好き嫌いや苦手意識をなくすことにもなります」と話した。

豚肩ロースのブランケット
豚肩ロースのブランケット

 「一口大」の考え方については「食べ手が、大きすぎない程度の口を開けて、恥ずかしがらずに頬張って食べられる大きさ」と話し、調味料の分量や調理過程の時間配分についても、具体的数字よりも食材の状態を見ながらざっくり考えることをアドバイス。「楽しみながら、悩まないで作ることも食を楽しむコツ。食べる楽しさ、作る楽しさの経験によって、ストレスから解放され、内側から健康になっていけるのではないか」と話した。

■社会とのつながりを失わないこと

 田中氏は、高良シェフとコラボしてのセミナーについて、「フランス料理という“人生における特別な一食”は、単に健康のために食べる、栄養を摂取すること以上の意味合いを持っている。シェフの一言一言に、『料理したい』という気持ちにさせていただいた。フレイル予防の新しいアプローチ法を考えていきたい」と振り返った。また、田中氏が特に力を込めたのは、「社会とのつながりを失うことがフレイルの最初の入り口。まずはそうならないことが重要」という点。新型コロナウイルスは、リモートワークを可能にしたり、仕事の効率化が進められるようにしたりと、マイナスばかりではない面ももたらした。一方で、仲間と会いにくい、社会的・文化的活動が思い切りできない状態は、人々の心、引いては身体を少しずつ弱めていく恐れもあるのかもしれない。ウィズコロナといわれる時代の、非常に大きな課題といえそうだ。

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