ルポ『赤ちゃんポストの真実』 答えのない問いを考え続けるということ

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 生活困窮、実父に別の妻子がいる、障害がある・・・そして誰にも言えず自宅で出産。赤ちゃんポストに預けられるまでの苦悩は誰にも見えない。 開設されて13年の赤ちゃんポストが社会に問いかけたものとは何か? 報道からこぼれ落ちたファクトをひたすら拾い集めた渾身のルポルタージュ、『赤ちゃんポストの真実』(森本修代著、小学館・東京、税別1,500円)が話題を呼んでいる。

 2007年に慈恵病院(熊本市)が開設した「赤ちゃんポスト」。命を救う、という理念のもと理解を広げてきたが、実際の運用は一筋縄ではいかない。預けられた子どもは、置き去りにされた場合と同様の行政手続きとなる。病院はまず児童相談所と警察に報告。赤ちゃんは戸籍法に基づき「棄児」(捨て子)と位置づけられ、児童相談所は親を捜す調査をするが、それでも身元が分からない場合、親の名前が空欄の一人戸籍がつくられ、姓名は熊本市長が定める。身元が判明しない子どもは健康保険に入ることはできず、医療費は熊本市が負担する。

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 2019年3月までに預けられたのは144人。ポストに関する法律はなくグレーゾーンの運用。出産状況が分からないため、医療者の負担も大きい。慈恵病院の信念に基づいた孤軍奮闘の状態だ。

 本書では「匿名」という壁をこえ、細い糸をたどるようにポストに預けた母、預けられた子を訪ねて話を聞いている。また数多くの医療・福祉関係者や熊本市長、県知事にもあたった。それでも結論は出ない、と著者は書く。「救われた命がある、という主張が何度も頭をよぎった。反論はできない・・・。一方で繰り返すようだが、法律がない中、赤ちゃんポストを運営するリスクは依然感じている。だが、ではどうすればいいのか、と突きつけられるたびに、答えに窮する自分がいた。対案を示すこともできない。つまり、何が正しいのか分からない。答えがわからない問いだからこそ、さまざまな立場の人間が繰り返し考え続ける必要があるのではないか、と考えた」。

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