一部地域を除き、長かった緊急事態宣言も解除される見通しになった。新型コロナの感染拡大で社会生活は大きく変わり、コロナ禍以前の生活では気付かなかった、多くの疑問や課題を感じている人は多いかもしれない。そこで編集部は「コロナ禍の影響で気付いたことは?」という調査をしてみた。
調査は、J:COMの投票機能を使って4月27日~5月11日に実施し、男女1,053人から回答を得た(コア層35~49歳)。回答のトップは、「医療従事者の過重労働・医療不足」で、24%だった。現在、世界各国で起きている、医療従事者の過重労働や医療崩壊。またコロナの最前線に立つ、医療従事者への偏見や差別も問題になっている。
以下、「日本人のモラルの悪さ」(20%)、「必需品等の海外依存の見直し」(18%)、「手洗い、体調管理の必要性」(15%)、「政治への関心、選挙参加の重要性」(6%)、「IT分野の遅れ」(5%)、「備蓄の重要性」(4%)、「働き方改革の遅れ」(4%)、「日本人のモラルの良さ」(4%)、「公務員削減による行政の人手不足」(1%)と続いた。
2番目に多かった「日本人のモラルの悪さ」は20%で、「モラルの良さ」4%を大きく上回った。コロナが感染拡大した2〜3月頃においては、マスクや消毒剤の買い占め・転売などの問題が表面化。最近では、営業を続けたり再開したりする飲食店に自粛を促す張り紙や恐喝電話などの嫌がらせ、他県ナンバーの車を傷付ける「他県ナンバー狩り」なども起き、こうした過度なバッシングを行う人々を指す「自粛警察」なる言葉も生まれた。
長期間にわたり生活の大きな変化と我慢が続く疲労感、ウイルス感染への恐怖、事態の打破が見えてこないことへの不安…。これらは、交流が断たれてもろくなった人間関係や、他者への思いやりの余裕が減少した人間社会の脆弱性を巧みに突いてくる。疑心暗鬼や過剰な防衛本能が、人に他人を攻撃させてしまうのかもしれない。今後、新型コロナウイルスとある程度共存していく社会を受け入れなければならなくなったとき、環境や考え方が異なる他者を排除せず共に生きていくためには、各々がこのコロナ禍での気付きを生かし、行動していく必要があるのではないだろうか。