LIXILの義足体験授業、200回超える パラアスリートと小学生が交流

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 東京2020ゴールドパートナーの住宅設備大手「LIXIL(リクシル)」(東京都千代田区)が、2017年4月から全国の小学校で実施している「ユニバーサル・ラン(スポーツ義足体験授業)」が200回を超えた。

 体験授業は、パラリンピックのアスリートを招き、小学校5、6年生を対象に、義足使用の経験談を聞き、児童らが義足を実際に装着するなどして、多様性の理解を深めることが目的だ。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会による東京2020公認教育プログラムにも認定されている。

 201校目の授業となった10月29日は、愛媛県今治市立常盤小学校の6年生94人を対象に、陸上パラリンピックの大島健吾選手(19)=名古屋学院大陸上競技部=が参加して行われた。

大島選手のスポーツ義足を子どもに引っ張ってもらい強度を確認
大島選手のスポーツ義足を子どもに引っ張ってもらい強度を確認

▽義足はオーダーメード

 授業は2部構成で、体育館でクラスごとに大島選手から義足について説明を受けた後、児童が実際に義足をはいて感触などを体感。後半は3クラス合同で、世界や日本の義足使用者の現状や、バリアフリーなど障害者とともに生活することについて学んだ。

 ほとんどの児童は身近に肢体不自由の障害者がいないことから、義足についての知識はなく、大島選手から「障害の程度によって一人一人違うので、生活用の義足もスポーツ義足もオーダーメードです」と説明されると、興味深そうに義足を手に取って見ていた。

交代で大島選手の足に触る子どもたち
交代で大島選手の足に触る子どもたち

 大島選手は生まれつき左足首から下が欠損していたが、小学校ではサッカーと水泳、中学校で卓球、高校ではラグビーに挑んだ。大学に入ってから陸上競技を始め、100メートルでは12秒14の自己ベストを持ち、来年の東京パラリンピック出場を目指している。

 大島選手の義足を手にした児童らは次に、欠損している足に触らせてもらっていた。遠慮がちに手を伸ばしていた子どもたちも、大島選手が欠損した足にはかせる靴下が「ペット用?」「椅子などのカバー用?」「赤ちゃん用?」の3択問題で質問したりすると、次第に打ち解けた雰囲気に。(正解は「赤ちゃん用」)。

LIXIL社員の手を借りて義足体験
LIXIL社員の手を借りて義足体験

▽「障害も個性」

 義足体験は、児童全員が順番に炭素繊維製のバネが着いたスポーツ義足を片足にはいて、マットの上を歩いた。最初は、LIXIL社員らに手を取ってもらいながら、こわごわ歩いていたが、大島選手に背筋を伸ばすようにアドバイスされると、義足でケンケンできる子どももいて盛り上がっていった。担任の先生や校長先生も体験に加わると、児童らはみんなで声援を送り、楽しみながら義足の不自由さや特性などを学んだ様子だった。

炭素繊維製で弾力があるスポーツ義足
炭素繊維製で弾力があるスポーツ義足

 今回で「ユニバーサル・ラン」の参加は11回目という大島選手は「最初は遠巻きに見ている子どもたちも一緒に走ったりすると、自分たちと変わらないと分かってくる。障害もマイナスばかりではない。一つの個性と思ってくれればいいのです」と話していた。

「障害も個性」と話す大島選手
「障害も個性」と話す大島選手

▽義足っていくら? 

 体験授業の後半は、座学で義足を通じて障害者や高齢者が利用しやすいバリアフリーやユニバーサルデザインなどについて、大島選手とLIXIL担当者が解説した。世界には脚を切断した人が約2千万人(365人に1人)いるのに対し、日本では約6万人(2千人に1人)と比較的少ない現状や、脚を切断する理由として、事故や病気だけではなく、戦争や地雷といった日本では考えられない事情が世界ではあることが説明された。

座学では義足の値段など興味深い話も
座学では義足の値段など興味深い話も

 義足については、日常用は数千円から作れることや、スポーツ用は30万~50万円(大島選手のスポーツ用は約70万円)といった子どもたちが初めて聞くような話に熱心に聞き入っていた。座学では「階段の上り下りは大変?」「座ったり、立ったりは?」「車の運転できる?」など質問が次々と出て時間切れになるほどだった。

 街や家の中で段差があると義足の人や高齢者が不便になり、バリアフリーの大切さについても説明。また、眼鏡が発明されたころは眼鏡をかけている人は障害者のように見られていたが、今では小学校のクラスにも眼鏡をかけている子がいるので、違和感を持たれなくなったように、義足の人も自然に受け入れられるようになるべきだとの話にしきりとうなずいていた。

201回目の記念撮影。2万200人の児童の体験を目指す
201回目の記念撮影。2万200人の児童の体験を目指す

▽2万200人に向け

 体験授業を終えた永野春菜さん(11)は「義足の人も安心して生活できるユニバーサルデザインに関心を持った」と話し、多田誉晃君(12)は「義足は簡単かなと思ったら、体験してみて難しいことが分かった。障害者が苦労しないような段差のない街ができればいいと思う」と感想を語った。

 LIXILは、「ユニバーサル・ラン」をスタートから約2年半で全国40都道府県の小学校で実施。これまで14人のパラアスリートから、1万4203人の児童(同社調べ)が、バリアフリーの大切さや、自分と違う人を認め合う多様性への理解を学んだ。担当するLIXILの水越雅美さんは「初めは怖がる子もいるが、体験を通じて『自分たちと変わらない』と、障害者との距離が縮まるのを感じる。200校を達成し、新たなスタートをしたい」と来年に向け意欲を見せていた。

 最終的には全都道府県で、2020にちなみ2万200人の児童が体験授業に参加することを目指している。

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