命を救え、ライフセービングで競技会  日本で初開催、水辺の事故撲滅目指し

ライフセービング・パトロール・コンペティションの参加者とスタッフ(撮影・三宅菜央)
ライフセービング・パトロール・コンペティションの参加者とスタッフ(撮影・三宅菜央)

 水辺の事故ゼロを目指すライフセービング・パトロール。一般の人が安心して 楽しめるのも、危険に目を光らせるライフセーバーの活動があってこそだ。こう した活動を競技会形式で争う「ライフセービング・パトロール・コンペティショ ン」が10月26、27の両日、千葉県南房総市の岩井海岸で開かれた。体力面 の向上や、救助活動のスキルなどを争う大会は従来からあったが、加えて救急救 命のレベルまで高めた活動を競う大会は日本初。千葉県内に大きな被害をもたら した大雨の影響で開催が危ぶまれたが、大会当日は微風、晴れの条件に恵まれ、 関東近辺の5つのライフセービング・クラブ(LSC)と、この分野では世界トッ プクラスのオーストラリアから選抜チームがオープン参加して行われた。

▽救急車到着前に

 競ったのは個人の水泳能力を争う①サーフチームレース、おぼれた人をチーム で救助する②ボード・チューブレスキューリレー、ライフセービングの知識を確 認する③学科試験、救急救命のスキルを実行する④ベーシック・ライフ・サポー ト(BLS)、これらをすべて組み合わせた仮想状況で適切な行動ができるかを 試す⑤救助シミュレーションの5部門。砂浜でのダッシュやサーフボードでの沖 合いまでの模擬救助などは、比較的知られているが、救急救命の要素が重要にな るのが「パトロール・コンペティション」の特徴だ。

BLSで模範演技を披露するオーストラリアチーム。日本人スタッフは審判
BLSで模範演技を披露するオーストラリアチーム。日本人スタッフは審判

 人命に直接関わるだけに、ライフセーバーがどの段階まで救命活動ができるの かは資格試験で厳しく制限され、オーストラリアチームの模範演技では「私の名 前は○○。救急救命活動ができる資格を持っています」と宣言してから作業に入っ ていた。大会実行委員会によると、遭難者を助けてから救急車が到着するまでに、 どれだけ救命活動ができるかが重要になってくる。先進国であるオーストラリア では、パトロールの大会が頻繁に開かれている。今回で3年連続来日のマイケル ・ホワイトさんは個人の全国チャンピオンで、BLSでは模範演技を披露。チー ムに同行してきたジョン・ブラディックさんは20年の審判歴があり「パトロー ルの競技は、ライフセーバー育成のために大切なイベントです。オーストラリア でも重要視されています」と参加者にエールを送り、競技の合間には日本の審判 に採点の要領などを説明していた。

救助シミュレーションでは、遭難者への問いかけから始まる(撮影・三宅菜央)
救助シミュレーションでは、遭難者への問いかけから始まる(撮影・三宅菜央)

▽ジュニア育成で裾野拡大へ

 2日間に渡った競技会はライフセービング活動では長い歴史を誇る神奈川県の 葉山LSCが総合優勝した。代表の加藤智美さんは「ゲーム形式でレスキューを 競うこの大会は、今まで日本にはないもので、選手としてとても楽しかった。ルー ルの下でライフセーバーの判断や動作が評価されるのは、空手の型の競技ような ものかもしれない。繰り返し練習を続けることで、現場の救助にも確実に生かせ ると思う」と感想を話した。  周囲を海に囲まれ水のレジャーが拡大している日本では、今後ますますライフ セーバーの活動が大事になってくる。日本がオーストラリアとの交流を始めた1 980年代から活動している中見隆男さん(元東海大准教授)は、ライフセーバー の育成には小学生、中学生のジュニア世代から救助活動に触れ、年齢が高くなる につれ、より高度な救急救命の知識を会得するようにすることが、裾野の拡大に つながると指摘する。楽しみながらスキルを高めるパトロールコンペティションの普及が、育成にも貢献するだろう。

人工呼吸に加え、AEDなどの医療用具を使い救命活動に当たる(撮影・三宅菜央)
人工呼吸に加え、AEDなどの医療用具を使い救命活動に当たる(撮影・三宅菜央)
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