馬と人の美しいコミュニケーションに注目! スピードとスタミナも求められる総合馬術の魅力

馬場馬術
馬場馬術

 馬術はオリンピック競技の中で唯一、人間と動物が一緒に行う競技。選手と馬の相性も重要なポイントで、それぞれの馬の性格や体つき、得意な動き、クセなどの特徴を生かしたトレーニングが必要となる。

 選手は自身のトレーニングのほか、馬の体調を考慮したトレーニングスケジュールの立案も行う。馬の苦手なポイントの克服、疲労回復や心肺強化など、より密接なコミュニケーションと信頼感がないと、選手も馬も大会に向けて最高の状態に持っていくことができない。また、能力の高い馬に乗れば、誰でも勝てるという競技ではなく、選手にも高いスキルが求められる。2020年の東京オリンピックは、世界最高峰の選手と馬が日本に集まり、ハイレベルの競技を見ることができる貴重な機会だ。

 オリンピックで実施される馬術競技は「総合馬術」「障害馬術」「馬場馬術」の3つがある。中でも総合馬術は「馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術」の3種目を3~4日間で行い、総合成績を争うタフな競技だ。

 総合馬術は全ての種目を同じ馬で行うため、選手と馬の信頼感やスタミナ・耐久力が求められる。また、3種目とも、それぞれに異なる高い技術が必要で、競技の途中で大きく順位が変わることも珍しくない。3種目のいずれにおいても大きなミスをしないことが、上位に入る条件だ。

 馬場馬術は、20m×60mの競技場(アリーナ)で、歩き方などの決められた動きをいかに美しく活発に行うかを競う競技。馬が斜めに歩いたり複雑な動きをする間、選手は何もせずに乗っているように見えるが、選手は重心の微妙な移動や拳の握り、下半身の動きなどを通して、常に馬とコミュニケーションを取っている。選手が馬の動きを体で感じながら次の動作の指示を出すなど、選手と馬の美しい動きがこの種目の魅力だ。

 クロスカントリーでは、自然の起伏を生かしたコースに、丸太や水濠、竹柵、フラワーテーブルなどの障害物を置き「より早く、よりスムーズに」を競う種目。池に飛び込んだり、水から飛び上がったりといった障害もある。決められた時間を超過したり、馬が反抗して止まった場合は減点されるため、選手は事前にコースの下見を入念に行い、走行コースのポイントをチェックする。約6kmのコースに最大45個の難易度の高い障害を配置され、分速570mで走行することを求められる上位の大会では、スタミナ、スピード、飛越力が求められ、その迫力に圧倒されることは間違いない。そして、クロスカントリー走行後は、翌日の障害馬術のために疲労の回復を図るといった馬のケアが欠かせない。

障害馬術
障害馬術

 最終日に行われる障害馬術の朝には、獣医立ち会いのもとで馬体の検査が行われ、障害馬術に臨める状態にあるかチェックされ、回復が十分だと認められた馬に限り障害馬術に参加できる。馬術競技では馬の状態を良好に保つことが最優先事項だ。それでも、時間内に飛越・走行を求められる障害馬術では、前日までの疲労によって本来のジャンプができない馬もいる。最上位レベルの大会では、高さ約130cm・ 幅最大165cmある障害を、最大16回飛越する。選手の技術や馬の能力や回復力が問われる、総合馬術最後の種目だ。

 総合馬術で国際競技会に参加するためには、同じ選手と馬で数々の競技会から完走実績を積み上げていくしかない。現在、6人の日本選手がヨーロッパに拠点を置いてトレーニングを重ねながら競技会にチャレンジしている。近年では、ヨーロッパの競技会で日本の選手が優勝や入賞を果たし、2018年のバンコクアジア大会では、個人・団体ともに金メダルを獲得、2018年に米国ノースカロライナ州のトライオンで開催された世界選手権では団体4位と、世界レベルの戦いを繰り広げている。8月12日から14日に行われるテストイベントには、この6選手が馬とともに来日し参戦する。競技は公開されないが、この結果によっては、東京オリンピックでのメダル争いを占うことができるかもしれない。

クロスカントリー
クロスカントリー

 日本国内で、総合馬術の競技会を運営しているのがJapan Eventing。Japan Eventingは、日本馬術連盟の総合馬術本部のメンバーを中心に、オリンピック選手団監督、元オリンピック選手、国際審判員などのスタッフで構成される組織で、総合馬術の「認知度向上」「選手育成」「馬匹トレーニング」「競技人口の拡大」を目的とした活動を行っている。総合馬術の競技会に参加する乗馬クラブや選手は年々増える傾向にあり、Japan Eventingは選手にヘルメットを提供するなど、選手を支援する活動も行っている。

 また、大学レベルでも総合馬術の次世代を担う選手育成が行われている。日本大学の馬術部は、関東学生、全日本学生といった大会で連覇を続けるだけでなく、全日本ヤング総合馬術大会といった大会で優勝する選手を継続的に輩出している。総合馬術選手の育成の背景には、日本の大学で随一とも言える施設や、元オリンピック選手などのコーチ陣の存在も大きく関わっている。

 東京オリンピック開催まで約1年。世界最高峰の選手と馬が集まる中、日本選手の躍動する姿や、美しく力強い馬たちが活躍する総合馬術競技が待ち遠しい。


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