AI活用で水辺事故ゼロに! JLA、“離岸流”の自動検知に挑戦

JLA指導員の飯沼誠司さん(奥中央の黒い水泳帽)から救助を待つ体勢を学ぶ子どもたち。2019年5月25日、東京都港区の赤坂小学校プールで。
JLA指導員の飯沼誠司さん(奥中央の黒い水泳帽)から救助を待つ体勢を学ぶ子どもたち。2019年5月25日、東京都港区の赤坂小学校プールで。

 周囲を海に囲まれ、軽く3,000を超える河川が流れる日本は、人々が水辺に親しむ環境に恵まれている。夏ともなれば、全国におよそ200ある海水浴場は多くの人でにぎわう。

 その反面、屋外の水難事故が多いのも事実。件数、死者・行方不明者とも30年前に比べれば半分程度に減っているものの、2017年の水難事故死者・行方不明者は679人(警察庁調べ)。水難事故が多くなる夏は特に注意が必要だ。

 水難事故のおよそ半数は海で発生する。ライフセーバー(水難救助員)の団体「公益財団法人日本ライフセービング協会」(入谷拓哉理事長、JLA)の統計によると、ひどく溺れる前にライフセーバーにより救助された遊泳客はここ最近年2,000~3,000人に上る。“大事”に至る前に海で助けられた人は相当な数だ。

 このため「水辺の事故ゼロ」を目指すJLAは、水難事故に遭わないための心構えや知識、技能を身に付けさせる事故防止の啓発活動を強化するとともに、先端技術を使った救助活動の充実にも力を入れている。

 18年度は、千葉県の御宿海岸で人工知能(AI)を活用した「離岸流」(りがんりゅう、リップカレント)を自動検知する実験を試行的に実施した。離岸流は沖へ向かう流れのこと。遊泳客を沖へさらう危険な流れで、海水浴場での溺死の最も多い要因になっている。

 海岸の構造物周辺で発生しやすいが、ベテランのライフセーバーでないと気付きにくく、遊泳客に早期に注意喚起するため迅速に把握する体制が求められていた。

 実験は海岸にカメラを設置して実施。日々の波の映像の中から、周辺の海の色や波の砕け具合など離岸流発生を示す兆候をAIが学習して捉え、かなりの精度で離岸流を検知することに成功したという。検知結果はライフセーバーのスマートウォッチにリアルタイムで伝えられる。

 JLA理事長の入谷拓哉さんは「JLAは水辺の事故ゼロを目指し、先端技術を活用した安心安全な水辺空間の創出に取り組んでいる、AIを活用した離岸流対策もその一環。先端技術は積極的に使っていきたい」と話す。

 さらに精度を上げるため19年度もAIを使った離岸流の自動検知の実験を夏に実施する。JLA副理事長でライフセービング教育本部長の松本貴行さんは「AIをうまく使えば一人のライフセーバーが見守れる範囲が広くなる。関係者の協力を得ながら、事故予防、救助活動の向上を図りたい」と意気込む。

 JLAは、水難事故防止啓発活動の一環として全国で一般人を対象にした講習会「ウォーターセーフティー教室」を開いており、5月25日は東京都港区立赤坂小学校の屋内プールで小学生を対象に開かれた。

講習を終えJLA役員らとプールサイドで記念撮影する「ウォーターセーフティー教室」参加者(前列)ら。
講習を終えJLA役員らとプールサイドで記念撮影する「ウォーターセーフティー教室」参加者(前列)ら。

 JLA指導員のライフセーバー飯沼誠司さんや元競泳自由形選手の山口美咲さん、トライアスロン選手の岸本新菜さん、プロサーファーの大村奈央さんを講師に、参加した都内の小学生7人が、水中でのライフジャケットの着脱やライフジャケットを身に着けたままスムーズに移動するコツなどを学んだ。

 およそ1時間の講習を終えた小学3年の男児は「水に浮かぶのが難しかったけど面白かった」と話した。

 飯沼さんは「これからの季節は水辺での事故が多くなる。一番大事なのは状況を的確に把握して行動し未然に事故を防ぐこと。そして仮に危険な状況に直面してもパニックにならず、落ち着いて対応できるセルフレスキュー(自分で自分の身を守る)の力を養ってほしい」と呼び掛けている。


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