五輪に向けて高まる“ボランティア熱” 「横浜トライアスロン」では一般募集枠の倍率が11倍に!

時に勝敗を左右することもある“水”。ペットボトルの奥に見えるのは国重要文化財「横浜市開港記念会館」のジャックの塔(2019ITU世界トライアスロン横浜大会、2019年5月18日)。
時に勝敗を左右することもある“水”。ペットボトルの奥に見えるのは国重要文化財「横浜市開港記念会館」のジャックの塔(2019ITU世界トライアスロン横浜大会、2019年5月18日)。

 来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、「募集定員」を大幅に上回る応募があった“オリパラ”ボランティアの「選考」が本格化している。

 このボランティアの募集をめぐっては、期間中の酷暑が予想される上に、無償ゆえの「やりがい搾取」の一部指摘もあって、当初“定員割れ”が懸念されたが、終わってみれば、募集定員10万人の倍を優に超えるおよそ24万人の応募があった(東京都以外の開催地公募分1万6600人を除く)。

 ボランティアは、競技施設や選手村などで活動する「大会ボランティア」(フィールドキャスト)と、競技場外の主要空港・駅などで観光・交通案内などとする「都市ボランティア」(シティキャスト)に大別される。

 大会ボランティアはオリパラ組織委員会が8万人公募し、応募者は20万4680人。都市ボランティアは東京都が2万人公募し、応募者は3万6649人。いずれも女性がおよそ6割を占める。“スポーツボランティア熱”は女性を中心に着実に高まっているようだ。

 両ボランティアの選考は面接などを実施して今秋までに終え、その後すぐ「当選者」を対象に本番に向けての研修を始める予定だ。

 スポーツボランティア熱は、もちろん五輪特有の現象ではない。全国各地で開かれている大小さまざまのスポーツ大会にも大勢のボランティアが参加し、大会の円滑な運営をサポートしている。

 横浜市の山下公園一帯で5月18、19の両日開かれた「2019ITU世界トライアスロン・世界パラトライアスロンシリーズ横浜大会」には600人のボランティアが参加した。

 この横浜大会は、東京オリパラ出場の選手選考も兼ねたレースの一つで、国内外のトップアスリートが集結。今回節目の10回目を迎える国際的に注目される大会だ。ボランティアの関心も高く、パートナー企業割り当て分を除く、一般募集枠の募集倍率は11倍を記録した。

しのぎを削るトップアスリート。
しのぎを削るトップアスリート。

 横浜大会を支えるメインパートナー企業の一つ、エネオス(JXTGエネルギー)の社員で、今回パートナー企業の“枠”でボランティア参加した根岸製油所品質管理グループの阿部美穂子さん(48)と川崎製油所製油3グループの富田陽介さん(54)は、ボランティア経験豊富な2人。

 阿部さんと富田さんは5月18日早朝から、国の重要文化財「横浜市開港記念会館」のレトロな「ジャックの塔」が望める場所の給水所に立ち、苦しそうな表情ですぐ眼の前を通り過ぎていく選手一人一人に声援を送りながら、ペットボトルの水を選手たちに取りやすい高さで、差し出し続けた。

ペットボトルの水を差し出す富田陽介さん(左)と阿部美穂子さん
ペットボトルの水を差し出す富田陽介さん(左)と阿部美穂子さん

 阿部さんは4年前から、富田さんは2年前から各種スポーツ大会のボランティアを開始。もちろん2人とも来年の東京オリパラのボランティアに応募した。

 阿部さんは「車いすバスケットボールのボランティアはよくやっているので、東京パラリンピックでは車いすバスケの運営をサポートできたらうれしい」と話す。

 富田さんは「今日は一人の選手にお水をとっていただけた」と満足そう。「われわれボランティアは、ものすごいトレーニングが必要なわけではないが、大会の円滑な運営に必要とされる存在」と充実感を語る。

 同じJXTGエネルギー社員でJXTGエネルギーホールディングス監査事務室副室長の近藤奈美さん(52)は、ボランティア希望者が社内で多かったため惜しくも枠から「漏れた」一人だが、ボランティアに励む同僚の応援に駆け付けた。近藤さんも来年の東京オリパラボランティアに応募しており「次(=東京オリパラ)はぜひやりたいですね」と笑顔で話した。

 一般枠に応募し、会場案内や会場内に落ちているごみを「エコステ―ション」に集める活動をてきぱきとこなしていた東京都在住のボランティア斎藤晴美さん(55)は、パラトライアスロンのスタートが午前6時50分と早いため、横浜市に前日宿泊して臨んだ。

 斎藤さんは、陸上競技が好きだったことと、過去多くの人に助けられたことへの恩返しの意味も込めて、子育てが一段落した数年前から、全国各地のスポーツ大会でスポーツボランティアを始めた。

 現在は仕事の合間を見て、月1、2回のペースでスポーツボランティアを続ける。

 ボランティア活動を通して年齢や社会経験も異なるさまざまな人々とふれあい、他人から感謝されるだけでなく、ボランティア仲間からいろいろなことを教えてもらう機会が増え、自身の成長を日々実感している、という。来年の東京オリパラのボランティアにも当然応募した。

会場でウサギを見つけたボランティア仲間と談笑する斎藤晴美さん(右)。
会場でウサギを見つけたボランティア仲間と談笑する斎藤晴美さん(右)。

 斎藤さんは「上級救命資格講習や防災語学ボランティア講習、おもてなし語学ボランティア講習なども受講しました。今後はスポーツ以外にもボランティア活動を広げていきたい。みんな各々役割があって、助け合って社会が成り立っていると誰もが自然に思えるようになったらすてきですね」と笑顔を見せる。

 東京オリパラでは選手の超人的な技やプレーはもちろん、人間らしい細やかな対応で“輝く”ボランティアも、魅力の一つになっていくはずだ。


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