東京五輪関連イベント盛況! オリパラ精神根付く宮城県登米市の“長沼”フートピア公園で

一斉にスタートするキッズスマイルランの参加者。
一斉にスタートするキッズスマイルランの参加者。

 黒澤明監督のデビュー作「姿三四郎」のしびれる名場面は、師匠に叱責されて池の中に飛び込む主人公・三四郎(藤田進)が杭につかまりながら、月夜に輝くハスの花を見つめるシーン。ハスの厳粛な美しさに三四郎は己の未熟を悟り柔道家としても人間的にも一皮むけて成長する。

 ハスの花は、仏教の理想郷「極楽浄土」に咲く花のイメージで古来より人々を魅了する。宮城県登米市の長沼フートピア公園に向かうタクシーの中で、ハスの花を「世界中の人々に見てもらいたかったなあ」と運転手さんがつぶやいた。

 その「見てもらいたかった」光景を、宮城県観光連盟のサイトは「長沼は夏ともなると湖面いっぱいに数十万本のハスの花が咲き、その光景はまさに極楽浄土」と表現する。夏の「ハスまつり」期間中は小舟に乗って間近でハスを鑑賞できる。

 このような運転手さんの願いは一時、実現するかに思われた。“長沼”と聞いてピンと来る人もいるだろう。そう、2020年東京オリンピックのボート・カヌー競技会場の移転候補地に小池百合子東京都知事がぶち上げたあの「長沼ボート場」の“長沼”だ。小池知事の現地視察には大勢の地元住民がボート場で出迎えた。運転手さんもその一人。

 「あのときは本当に期待したが…、残念な結果になった。“復興五輪”といわれても実感はない。世界の人々にあの景色(=湖面一面に咲くハスの花)を見てほしかったなあ」と繰り返す言葉に口惜しさがにじむ。

会場に設けられたステージで踊りを披露し登米産トマトをPRする子どもたち。
会場に設けられたステージで踊りを披露し登米産トマトをPRする子どもたち。

 到着した長沼フートピア公園の先にその長沼ボート場が広がる。現地に足を運んだこの日、3月23日は冷たい強風が湖面を揺らし時折、小雪もちらつく肌寒い一日だったが、公園内には、数多くのテントやのぼりが立ち、朝からにぎやかだ。東日本大震災の3年後に始まった「東北風土マラソン&フェスティバル2019」(3月23~24日)はこの日からスタートした。

東北の郷土料理がふるまわれたテント。
東北の郷土料理がふるまわれたテント。

 23日はチームで21kmを走る「リレーマラソン」や障害者らが走る「キッズスマイルラン」などが行われた。24日はフルマラソン、ハーフマラソンなどが実施された。地元の郷土料理のはっと汁や、登米産仙台牛の肉を使ったベゴ汁などを提供する露店や地酒のテントが並び、来場者に東北の風土=フード=食の魅力も伝える。

スタートの合図で飛び出すリレーマラソンの参加者。仮装して参加するランナーも多い。
スタートの合図で飛び出すリレーマラソンの参加者。仮装して参加するランナーも多い。

 今回6回目を迎える「東北風土マラソン&フェスティバル」は復興支援を目的に掲げる。共生社会や多様性を推進する東京五輪・パラリンピックの趣旨に沿った催しとして東京オリパラ推進本部から「ビヨンド2020プログラム」に認証されている。障害者らが走る「キッズスマイルラン」などはオリパラ精神が発揮された種目だ。健常者の助けを借りながらうれしそうに走り抜ける障害者の姿に多くの人が惜しみない拍手を贈る。

 “長沼”はオリンピック競技の誘致には失敗したが、多様性を認める共生社会の実現をうたうオリパラ精神は深く根付いている。

 東北の食の魅力発信もこのイベントの大きな役割。例年およそ5万人以上が会場を訪れる。マラソンなどに参加するランナーは今回6,800人。ランナーには、登米市産黒毛和牛のサイコロステーキなど地元特産品をふるまう「エイドステーション」がコースの各所に設けられる。

エイドステーションを楽しみにハーフマラソンに出場した佐藤由里さん。
エイドステーションを楽しみにハーフマラソンに出場した佐藤由里さん。

 3月24日のハーフマラソンに出場した佐藤由里さん(49)=JXTGエネルギー仙台製油所副所長兼地域交流室長=は「エイドステーションはとても楽しみですね」と話す。

 3月23日の「リレーマラソン」に出場し、132チーム中26位の好成績を残した「チーム エネゴリ」(JXTGエネルギー仙台製油所勤務の7人で構成)の代表、三浦一浩さん(45)は「メンバー全員ケガなく無事レースを終えることができた。楽しい一日だった。会場のテントでおいしいものをみんなで食べて終わりを“締めたい”」と笑顔で話した。

職場の仲間と快い汗を流した「チーム エネゴリ」のメンバー。
職場の仲間と快い汗を流した「チーム エネゴリ」のメンバー。

 会場ではおそろいのジャンパーを着た地元ボランティアが来場者を親切に案内している。東北ならではのきめ細かな対応がリピーターを増やしている。このようなノウハウを蓄積して将来はオリンピックの競技会場に選ばれなかったことなど忘れてしまうくらい、訪日客も含めさら多くの人を集める「東北風土マラソン&フェスティバル」に育ててほしい。

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