海外ではポピュラーな存在である乳児用液体ミルク。日本では「食品衛生法」や「健康増進法(特別用途食品)」が壁となり普及が進んでいなかったが、2018年8月に行われた法改正で液体ミルクの製造・販売がついに解禁となった。
東日本大震災から8年目となった2019年3月11日、江崎グリコから日本初の液体ミルク「アイクレオ赤ちゃんミルク」が、全国のドラッグストア・ベビー専門店で発売された。
発売当日のTwitterでは「待っていました!」「割高でもこれは便利」「子どもが小さい頃に使いたかった」などたくさんの喜びの声が投稿されていた。いかに粉ミルクの調乳・出先での授乳が大変かわかる反応だ。
発売に合わせて東京都内で行われた液体ミルクの体験会では、赤ちゃんミルクの開発を担当した江崎グリコ商品開発研究所ベビー・育児グループの永富宏(ながとみ ひろし)氏が出席し、次のように語った。
「災害で最も弱者になるのは、唯一の栄養源がミルクである赤ちゃん。ミルクが断たれると危機的な状況になってしまう。しかし災害時には、お母さんの母乳が出なくなったり、粉ミルクを作る際にきれいな水が手に入らなかったりといったケースがあります。また、東日本大震災の際は、お母さんと赤ちゃんが離れ離れになることもありました。育児に不慣れな人や初めての人には、衛生的にミルクを作るのはなかなか難しい。赤ちゃんに国産の液体ミルクを届けたいという思いで開発をスタートしました」
体験会に参加し、実際に液体ミルクを使った授乳を体験したお母さんお父さんからは「注ぐだけなのですぐに(ミルクを)あげられて精神的にも余裕が持てそう」「夜中に授乳するときは液体ミルクを活用したい」「うちの子だと1パック(125ml)だと少し足りないかも・・・」という声が上がった。
最後の質疑応答では「授乳室の自販機に使い捨ての哺乳瓶と一緒に置いてもらえるととても便利だと思います」という意見が。担当者からは「現在そのような予定はありませんが、社内で前向きに検討します」と回答。もしかしたら近い将来お湯の入った重い水筒と哺乳瓶が無くても気軽に親子で出かけることができる日が来るかもしれない。