食から始まる新たな物語 「第1回日本おいしい小説大賞」

小説 大柄な男が大衆食堂に入り、ビールを注文して席に着く。お品書きを眺めていると早速、ビールを注いだコップが目の前に。両手でなでるようにコップを包み込み、じっと見つめた後、一気に飲み干す。五臓六腑にしみわたり漏れた吐息の深さに、男の過去の一端が浮かび上がる。料理はしょうゆラーメンとかつ丼を注文。最初に箸でつまんだチャーシューは眺めただけでスープに戻し、冷ます間も惜しんで麺を素早く同じペースで口元に繰り返し運ぶ。そのたびに箸の持ち手側の右肩が大きく上下する。まるで箸を“指揮棒”に体全体で味わっているようだ。

 男は高倉健が演じた網走刑務所を出所したばかりの元炭鉱労働者。主演した『幸せの黄色いハンカチ』(山田洋次監督、1977年)の冒頭場面で、健さんは食を断ちこの撮影に臨んだ。ほとんどセリフはないが、久しぶりに娑婆の空気に触れた男の戸惑いと喜びの複雑な内面がラーメンの湯気のように立ち上る名場面だ。

 食は人間の感情、喜怒哀楽と結びつき、喜怒哀楽は食を介して表現されることがある。愛妻弁当、糟糠(そうこう)の妻、おふくろの味、同じ釜の飯を食った仲間――など人間の感情と結びついた食関連の言葉は少なくない。

 その意味で食は人間を描く小説にとっては格好のテーマといえるかもしれない。小学館がこのたび企画した「第1回 日本おいしい小説大賞」には、食にまつわる魅力的な物語が数多く寄せられるはずだ。大賞賞金は300万円。古今東西の「食」をテーマにしたジャンルを問わないエンターテインメント小説を現在募っている。

 締め切りは2019年3月31日(当日消印有効)。選考委員は、直木賞作家山本一力氏、作家柏井壽氏、放送作家・脚本家の小山薫堂氏の3人。受賞作は小説誌「STORY BOX」2019年9月号で発表する。

 原稿枚数は20字×20行の原稿用紙換算で400枚以内。原稿様式は通し番号を付したA4サイズの用紙に縦組み、40字×40行、横向き印字とする。手書き原稿は選考対象外となるので注意したい。

 応募の受け付けは郵送のみ。①表紙(題名、住所、氏名・筆名、年齢、性別、職業、略歴(商業出版の刊行歴含む)、文芸賞応募歴、電話番号、メールアドレスを明記)、②応募作の梗概(800字程度、原稿用紙換算時枚数を明記)、③原稿――の順に右肩をダブルクリップで束ねた書類を、〒101-8001 東京都千代田区一ツ橋2-3-1小学館出版局文芸編集室「第1回 日本おいしい小説大賞」係へ。

 詳細は「第1回日本おいしい小説大賞」ホームページで。


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