越すに越されぬ“青い山”? 「第4回マラソンサミット in JAPAN」でマラソン大会の勉強会

「第4回マラソンサミット in JAPAN」で箱根駅伝の魅力を語った(左から)相良監督、櫛部監督、近藤監督。(会場は東京都中央区の明治ホールディングス講堂

 馬の背に旅人や荷物を載せさっそうと箱根街道を行く馬子(まご)たちの労働歌(馬子唄)の一つに「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」がある。さすがに健脚自慢の屈強な馬子たちも、架橋・渡船を禁じたお上のお達しには舌を出しても手は出せぬ。旅人は人足の肩車などで大井川を渡るしかなかった。
「(増水などで)20日間も川留め(足留め)になったこともあったそうです」 

 大井川沿いを走る「しまだ大井川マラソンinリバティ」の開催地・地元島田市の三浦洋一さん(同マラソン実行委員会事務局長)は1月31日、東京都内で開かれた「第4回マラソンサミット in JAPAN」での講演で、かつて宿場町として大いに栄えた地元島田市の「川留め文化」を紹介した。

 「しまだ大井川マラソンinリバティ」は、災害用道路として国が整備した大井川河川敷沿いを走る市民向けの大会。これまでに9回開き、年々参加者が増えている。9回大会はおよそ9,500人が参加。地元の特産品などをランナーに振る舞う「大エイドステーション」を設けるなど、地元住民の温かい「おもてなし」が市民ランナーを引きつけている。

 マラソンサミットには、まちおこしの一環でマラソン大会を全国各地で開いている地方自治体の関係者らが集結。ランナーをごっそり取られてしまう、東京や大阪など大都市のマラソン大会に伍(ご)していくための“知恵”を出し合った。三浦さんは「(東京や大阪などの)都市型大会とは一線を画したおもてなし趣向と地域の特色を生かした大会を」と関係者に訴えた。

 地方のマラソン大会への外国人の誘致(スポーツツーリズム)に力を入れているJTBスポーツステーションの井上宏スポーツツーリズム推進担当部長は同サミットの講演で「人の“温度”、人間のぬくもりが感じられる(素朴な)おもてなしが求められている」とアドバイスした。大都市のマラソン大会のようにテレビ向けにショーアップされた派手な演出はできなくても、外国人の琴線に触れる温かいおもてなしとちょっとした工夫で大都市の大会と十分、差別化できると、と訴えた。

 かつては川留め文化で大勢の旅人が集まった大井川は、いま多くの市民ランナーでにぎわう。「行く川のながれは絶えずして、しかも本(もと)の水にあらず」。有名な「方丈記」(ほうじょうき)のしびれる冒頭句は底冷えの無常観を突きつけるが、絶えることのない川の流れまでは否定しない。「しまだ大井川マラソンinリバティ」の成功は、川留め文化以来地元で培われてきた“おもてなしの心”が、現代風に形を変えながらも脈々と受け継がれてきた証の一つではないだろうか。

 「箱根八里」は、冒頭の馬子唄では、大井川と比較して一段低く見られているが、瀧廉太郎作曲の唱歌「箱根八里」では「箱根の山は天下の剣(けん)」(けわしいこと)とうたわれ、豪傑たちが覇を競った中国の「函谷関(かんこくかん)」にも例えられている。 
 箱根の山を抜ける道路が整備され、大井川の上を新幹線、東名高速が走る現代では、昔の人と同じ感覚で歌詞を味わえる人は多くないだろう。

 むしろ現代人にとっては「箱根八里は“誰”でも越すが、越すに越されぬ“青い山”」のほうがピンとくるだろう。言うまでもなく、青山学院大が4連覇を果たした箱根駅伝のことだ。 
 マラソンサミットでは奇しくも大井川マラソンを紹介した三浦さんの講演に続き、今年の箱根駅伝にチームを出場させた早稲田大の相良豊監督、城西大の櫛部静二監督、上武大の近藤重勝監督のトークショーが行われた。
 相良、櫛部両氏は箱根駅伝の勝敗を左右する鍵は、箱根の山を駆け上がる「五区」と指摘した(相良氏は「山下り」の六区の重要性も指摘)。櫛部監督は「山に強い大学はそれなりの順位にいく」と話す、平地とは異なる次元の闘いが繰り広げられるそうだ。最近の箱根駅伝ファンなら、東洋大の黄金時代を築いた「山の神」柏原竜二選手の名が浮ぶだろう。

 箱根駅伝には、箱根の山とともにもうひとつの大きな青い山がそびえ立っている。青学はなぜ強いのか? 近藤氏は「青学スタイルともいうべき、選手のリクルーティング、育成などすべてのシステムが確立されている。原監督はあんなに忙しくしていても、選手の気持ちを一瞬で一つにする天才的なもの(掌握術)を持っている」と分析した。
 これまで通り、原監督をテレビで拝見できるうちは青学の天下はまだまだ続くのかもしれない。


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