なかなか着かない、届かない仏の列車と郵便 完璧サービスの日本へ羨望も

TGV発着の駅構内で、出発時間とホームの表示を待つ人たち
TGV発着の駅構内で、出発時間とホームの表示を待つ人たち

 一長一短、という表現がまさにぴったりだ。たとえば海外と日本の郵便、宅配事情は、振り子の両端と言っていいほど異なっている。日本では、細かい時間指定などのサービスが行き届いている半面、せっかく指定した時間に受け取り人が不在だったり、宅配物の急増で現場で働く人の過重労働が問題になっていたりする。フランスでは逆で、なかなか着かない郵便物や予定通りに進まない手続きに、顧客側がイラついている。郵便や小包の紛失も日常茶飯だ。“時間指定まではできなくてもしっかり届く”程度の、日仏振り子の真ん中あたりがちょうどよさそうだが、中庸というのは何につけても難しいことのようだ。

1時間遅れを表示する駅の電光掲示板
1時間遅れを表示する駅の電光掲示板

 どんな分野でも、サービスに関しては日本が最高、という点については、海外在住日本人の多くが同意する。フランスに限らず、どこの国に行ってもさまざまな場面で祖国の正確さと完璧な仕事ぶりを再認識するのは、旅行者も同じだろう。目下、夏休みで移動の多い季節だが、フランスでは先月末から今月初めにかけて、パリ・モンパルナス駅の信号設備が故障して、日本の新幹線にあたる高速鉄道(TGV)の発着ができなくなり、6万人以上の乗客が被害をこうむった。厳しい批判を浴びて態勢を立て直したその1週間後、再度モンパルナス駅でパンタグラフが故障、TGVに大幅な遅れが出た。他にもパリからフランスの南東、ヴァランスに向かったTGVは、ヴァランスで停車するのを「忘れ」、乗客は150キロも先のニームで降ろされた。これが帰省の時期の日本の新幹線だったら、という風には想像するのも難しい出来事だ。普段から、在来線などの「遅れ」が珍しくないのは他国同様だが、1,2分の遅れで謝罪する日本の交通機関や、逆にほんの少しの遅れで駅員に食ってかかる日本人を見たことがあるフランス人は、一様に羨望のまなざしで日本の完璧に近いサービスをほめたたえる。

 郵便に対する不満も大きい。いったん投函すると、本当に配達されたのを確認するまで安心できない、という人は少なくない。例えば小包だと、きちんと配達されるのは8割、という調査もある。特にバカンスで人手が減る夏の間は、配達が大幅に遅れる。伝書鳩が道に迷ったのでは、と皮肉る人もいるくらいだ。

フランスの郵便局
フランスの郵便局

 フランスの場合、集合住宅に住んでいると個人の郵便受けがなく、同じ建物内の郵便物が一括して届けられ、それを管理人が各戸に配って歩くというケースが多いことも、遅れる状況に輪をかける。さらに、各戸のドアには通常表札も部屋番号もないから、最終的な配達の正確さは、管理人の記憶力が頼りだ。屋内に階数表示もないのが普通で、階段を上る時は住人でさえ階を数えながら上ったり、ドアの傷や敷物の特徴などで自分の階を認識するほどだから、引っ越した直後の郵便受け取りなどは、かなり気を遣う。

フランスの集合住宅内、玄関前に管理人が“配達”している郵便物
フランスの集合住宅内、玄関前に管理人が“配達”している郵便物

 どうしても重要なもので、早く届けたい時は、日本円にして数千円の「クロノポスト」や、他の民間サービスなど配達過程が追跡可能なものを利用するほかない。

フランスの郵便車
フランスの郵便車

 日本からフランス宛てに出す郵便にも、実は同様のことが起こっている。日本の郵便局でEMS(国際スピード郵便)など高額なものを利用すれば、追跡はできるし、日本国内では速達並みに移動するが、フランス側に到着してからも日本側同様の速さが保証されるわけではなく、空港で動かなくなっている自分の郵便を追跡画面上で見ても、投函した日本側の郵便局では当然のことながら対応してはもらえない。

 ネットで書類のやりとりができる時代、多くのことは添付書類で済むようになったから、以前に比べれば格段にイラつく場面は減ってはいるが、それでも「原本」が必要な公的書類など、重要性が高くなるほど、郵送に頼らねばならないことも多い。数時間刻みの時間指定などできなくても構わない、ただきちんと届けてほしいのだが…。


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