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「ピョンジョンクジ」って、誰だ

写真はイメージ

 生活の基盤を東京からソウルへ移した。外国で暮らすと、いろいろ面倒なことがある。その一つが医療だ。

 所属している研究所の案内では「医療保険あり」となっていたのだが、実際に生活を始めてみるとなんと歯科は対象ではないという。歯が欠けて、無保険で治療をしてもらったら、35万ウォン(約3万5千円)だった。これはかなわぬと思い、自分で医療保険に入ろうと考えた。

 妻が先に韓国に来て、医療保険に加入していたので、その地域医療保険に入ろうと考えた。外国人登録はしているが、韓国の自治体に住民登録はしていないので洞事務所(自治体の出張所)へ行って住民登録をしようと考えたが、妻と婚姻関係にあることを証明しなければならない。

 今から約30年前のソウル特派員時代に韓国で結婚をした時、韓国の区役所に婚姻届を出したのを思い出した。そこで婚姻証明書をもらって、住民登録をすれば良いと考えた。

 妻が区役所で婚姻証明書を取って、僕の旅券をコピーして洞事務所に僕の住民登録をしようと訪れた。

 妻の話では申請をしたのだが、女性職員が何人か集まり、何やら相談をし、上司に判断を仰いだりしている。そこで分かったのだが、婚姻証明書では僕の名前がハングルで書かれていた。

 「平井久志」をハングルで「ヒライヒサシ(히라이 히사시)」と書いてあれば問題はなかったのだが、婚姻証明書は僕の氏名の漢字をそのままハングル読みして書いてあったのだ。「平井久志」は漢字をそのままハングル表記にすると「ピョンジョンクジ(평정구지)」となる。

 洞事務所では「ピョンジョンクジ」なる人物と、旅券にある「HIRAI HISASHI」なる人物が同一人物であるかどうかをめぐって、頭を悩ませていたのだ。

 しかも、約30年前の区役所の事務はいい加減で「ピョンジョンクジ」の生年月日も記載せず空欄になっている。婚姻届の日付も間違っていた。

 洞事務所では本庁に指示を仰いで、本庁が「同一人物と認めろ」と指示をしたようで、ようやく住民登録をすることができた。

 

6カ月以上の居住

 

 今度はこの住民票を持って、健康保険組合に行って、保険に加入しなければならない。既に保険に加入している妻の配偶者なのだから、住民票があれば簡単に加入できると思っていた。

 しかし、健康保険組合に行くと配偶者であっても、外国人は入国後6カ月は健康保険に加入できないという。妻が「政府は外国人にも健康保険に加入しろと言ってるじゃないですか」と言うと、職員は「以前はすぐに加入できたのですが今はだめなんです」という。

 何でも、海外にいる僑胞(同胞)や外国人が韓国に一時入国し、健康保険で安い医療費で費用のかかる手術などを受けて、すぐに帰国する事例が多数発生したという。

 韓国の医療保険制度が悪用されていると批判が起き、外国人は6カ月以上居住しないと健康保険に加入できなくなったというのだ。かくして、「ピョンジョンクジ」(平井久志)は、6カ月間は歯科に高額の医療費を払わなければならなくなった。

 そんなことをしていたら、今度は、かぶせていた歯の金属冠(クラウン)が取れてしまった。歯科医院に行くべきかどうか。

 ジャーナリスト 平井 久志

 

(KyodoWeekly5月17日号から転載)

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