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厳しい防疫措置で比に広がる飢餓

マニラ市内にたむろする物乞いの子どもたち。子どもの外出は禁止されているが、新型コロナ前までは外国人観光客で大にぎわいだったクラブの前で、通りがかりの人を囲んで金と食料をねだる。依然より明らかに人数が増えた(筆者撮影)

 新型コロナウイルスをめぐるフィリピンの防疫措置は「世界で最も厳しく長い」(ロイター通信)ともいわれる。マニラ首都圏では21歳未満と60歳以上の外出はもう半年以上、原則禁止とされている。

 レストランの営業は客席の50%まで、電車やバスなど公共交通機関の乗客間の距離は1メートルを厳守、バーなどもっぱら酒類を提供する店の営業は現在も禁止されたままだ。

 最近は、外出する者はマスクに加え、フェースシールドと呼ばれる透明なシールドを付けることが義務化された。うっかり忘れて外出すると、オフィスビルに入れず、近くのコンビニであわてて買うはめになる。

 経済への打撃は計り知れないほど深刻で、世界銀行は今年のフィリピンの成長率を最大マイナス9・9%と予測。感染者増が続くインドネシア、観光産業への依存度の高いタイなどが、東南アジア諸国内では経済への打撃が大きいとされているが、数百万人が新たに失業、貧困率も急上昇しているフィリピンは域内でも最悪の打撃と予測されている。

 フィリピンの民間調査機関が9月に実施した「過去3カ月間に飢えを感じながら食べ物がなかったことがあるか」との質問に対し、過去最悪の30・7%のフィリピン人が「イエス」と答えている。この数字は新型コロナ流行直前の昨年12月には8・7%と過去最低レベルまで改善していた。

 庶民に聞くと、1日の食事は日本円で30円ほどで売られているイワシ缶1~2個とごはんだけで「それを家族と分け合って食べている」という。政府は当初、食料の無料配布や失業者への臨時給付金を支給してきたが、予算が尽き、今はそのような支援もない。

 マニラ首都圏では、物乞いの人々の数が明らかに増えた。子どもが多いが、中には身なりが整った大人が、首からメッセージをぶら下げ、一家の窮状を訴えるような今までになかったスタイルの物乞いが出現している。

 それでも庶民は、ドゥテルテ政権への支持率が最新の9月調査では実に91%と高いこともあり、長く厳しい防疫措置に耐え続けている。欧州で起きたような行動規制に反対するデモなどは一切なく、庶民の多くは「感染収束まで厳しい措置は仕方ない」と話す。背景には家族の誰かが感染した場合、一家が破産しかねないほどの多額の治療費がかかるゆえか、フィリピン人の新型コロナへの恐怖感が周辺国と比べても強いという事情もある。

 ただ、微かな光も見えてはきている。フィリピンの感染者は累計で30万人を超えたが、ピーク時は1日6千人を超えた新規感染者が9月半ば以降、1日2千~3千人台となり、減少傾向が見られている。大統領府も「最悪の時期は去った」との認識を示している。

 なんとかクリスマスのころまでには、感染収束と防疫措置の緩和が実現してほしい―。フィリピンに住む誰もがそう願っている。

日刊まにら新聞編集長 石山 永一郎 

 

(KyodoWeekly10月12日号から転載)

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