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看護師不足で比が海外就労禁止

コロナ専用病棟に向かう前に厳重な医療用防護服を身に付けるマニラドクターズ病院の女性医師のエピファニア・コリャンテスさん(筆者撮影)

 フィリピンは、新型コロナウイルスの感染拡大がハイペースの状態で、8月26日に累積の感染者数は20万人を突破、東南アジア、北東アジア域内では最多となっている。死者数も3千人を超えた。このため、フィリピンの医療現場は人手不足などで危機的状況が続いている。

 新型コロナの感染拡大が始まった3~4月にかけてはまず、医師や看護師の感染者、死者が相次いだ。4月末までにフィリピン全土で、医療従事者1694人が感染、医師33人、看護師7人が死亡した。現在は厳重な医療用防護服などがようやく整い、医療従事者の感染は大きく減ったが、それでも地方の病院では、まだ集団感染がしばしば起きている。

 政府は国内の全病院に病床のうち最低3割をコロナ専用病床とすることを義務付けているが、全国平均でその専用病床の5割以上が埋まっており、感染者が多いマニラ首都圏では満床の病院も多い。

 「マニラドクターズ病院」では、コロナ専用病棟は既に満床で、新たなコロナ患者は救急救命室内の仮設ベッドに待機させている状況だ。同病院のエピファニア・コリャンテス医師は「近くのホテルに臨泊を続けるなど激務が続いている。同僚のうち、小児科医、麻酔科医、看護師の3人が既に新型コロナで亡くなった」と話す。

 医師としての無念さは「呼吸に苦しむ患者を救う手段がないこと」だという。同医師によると、新型コロナウイルスは肺機能を破壊するため「いくら酸素吸入をしても、肺が酸素を取り込めなくなり、患者は呼吸困難で何日も苦しんだ末に死ぬ」という。

 フィリピン政府は、医療従事者に臨泊ホテル代や、危険手当支給などの支援を行う一方、医療従事者の海外就労禁止措置に踏み切った。

 看護師らフィリピン人医療従事者は世界各国にいる。日本も、経済連携協定(EPA)を通じて受け入れている。だが、フィリピン政府は「今は外国に送り出す余裕はない」として、当面、国内病院勤務を呼び掛けたのだ。

 しかし、これまで海外で働いてきた看護師や医師らは不満を募らせている。というのも、特に看護師の月給がフィリピンでは新卒で3万円程度と安く、外国で働いた時と格差が大きいためだ。政府は海外から帰国した看護師らを対象に国内病院勤務の緊急募集をしたが、募集1千人に対し、応募者はたった25人だった。

 ドゥケ保健相はこの結果に「わが国は『コロナ世界大戦』のまっただ中にある。どうか国を助けてほしい」と訴えた。しかし、フィリピン看護師連合会は「海外就労禁止で家のローンが払えなくなり、家を手放す看護師が続出している」など看護師側の事情を訴え、政府の呼び掛けには冷ややかだ。

日刊まにら新聞編集長 石山 永一郎

 

(KyodoWeekly9月7日号から転載)

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