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アフガン少女のロボットチーム

 不穏な空気を伝えるアフガニスタンからのニュースを読むと、かの地の取材で出会った10代、20代の女性たちのことを、つい考えてしまう。新型コロナウイルスの拡大、それに治安部隊と反政府組織の戦闘が激化する社会で、彼女たちは毎日をどう過ごしているだろうか。

 「学校に行く時、今日は無事に生きて帰れるかしら、と思う」と言った19歳のシュグファ。過酷な現実を生きているが華やかに笑い、そして「次世代の幸せのために今の社会を変える努力をしたい」と語っていた―。などと思い出していた時に、こんなニュースを知った。

 「アフガン少女のロボットチーム、車の部品から人工呼吸器を製作へ」。イランに近い西部ヘラートに住む14歳から17歳の少女5人のチームが、車の部品を使った安価な人工呼吸器を開発しているという。少女たちは3年ほど前、米国ワシントンで行われた国際ロボットコンテストに出場し、「企業家チャレンジ賞」を受賞、米メディアの熱い注目を集めた理系才媛だ。

 アフガニスタンでもコロナ感染は全土に広がっており、世界保健機関(WHO)によると、5月21日現在で感染者は8676人、死者は193人に上り、状況は今後、さらに悪化すると予想されている。政府は、首都カブールで崩壊状態のままだったダルラマン宮殿に100床のベッドを運び込み、隔離病棟の準備を整えた。ただ、そんな隔離病棟でも人工呼吸器は足りなくなるだろう。国全体で400台しかないからだ。

 人工呼吸器は現在、世界中で不足しているが、そもそも300万~500万円相当と非常に高価で貧しい国々にはなかなか手が届かない。そこで少女たちは、車の部品を使って6万円前後で買える装置を開発している。指揮を執っているのはアフガン人女性のIT起業家だ。「私たちの努力で1人の命でも救えれば」と17歳のナヒド・ラヒミさんは英BBC放送のインタビユーに答えた。

 アフガニスタンでは、3月末からカブールなど一部地域でロックダウン(都市封鎖)が始まった。感染者が最も多いカブールでは、物乞いをする女性たちが増大しているという。ロックダウンで日雇い仕事がなくなり大勢の男たちが収入の手段を失った。夫に代わって、女性たちが街角に立つしかなくなったのだ。

 政府を当てにできない状況の中で、「助け合わなければ」という市民の意識は高いらしい。イスラム教の断食月(ラマダン)と重なったことも助け合い精神を支えているようだ。ラマダンでは、貧しい人々を思い、苦しみを分かち合い、ザカート(喜捨)をより多くすることが求められている。

 民放テレビ局「トロ」は、戦闘やテロが続く中で職務に当たり、死亡した兵士や警官らの遺族に焦点を当て、一人一人の人生を番組で紹介。地元の財閥も、貧しい世帯に小麦粉や油、砂糖などの食卓に欠かせない品々を貧しい世帯に配布する。

 政府はというと、「収入がなくなった世帯に」とナン(パン)の材料の小麦を配布したが、それは小麦粉ではなく小麦粒だった。配られた側から不満が出たため、政府は今度は「各家庭に1日10枚のナン」の配布に切り替えた。しかし、ナンを巡って担当した地区長が不正を働いたことが発覚し、また市民から不満が出た。

 「政府がやることはやっぱり中途半端だ、と市民は怒り、あきれている」。カブール在住の友人の言葉に、私も日本政府のマスク配布の一件を思い出した。

ジャーナリスト 舟越 美夏

 

(KyodoWeekly6月8日号から転載)

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