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韓国保守惨敗、もう一つの理由

 韓国で4月15日に行われた総選挙は与党「共に民主党」が比例区の系列政党と合わせて全議席の6割にあたる180議席を取って圧勝し、保守の野党「未来統合党」は惨敗した。

 与党の歴史的圧勝の原因は文在寅(ムンジェイン)政権の新型コロナウイルス対応の成功だ。韓国の世論調査会社「韓国ギャラップ」によると、文在寅大統領の支持率は新型コロナウイルス感染が始まった直後の1月末には41%まで下がったが、投票直前の4月13~14日の調査では「支持」が59%まで上がった。文大統領支持の理由では「新型コロナウイルス対応の評価」が54%を占めた。

 しかし、選挙のプロセスを見ていると、与党圧勝の背景は新型コロナウイルス対応だけではないように見えた。

 「親朴槿恵(パククネ)」と「反朴槿恵」で分裂していた保守勢力は2月17日に新党「未来統合党」を結成し、保守一本化に成功した。

 「未来統合党」は「政権審判論」を掲げてスタートを切った。金ヒョンオ元国会議長を公認管理委員長に迎え、公認候補の大掛かりな入れ替えに着手した。親朴派の多選議員を自主的辞退に導き、中道保守の「国民の党」系列の人物を擁立するなど入れ替え作業が進められた。

 しかし、これに黄教安(ファンギョアン)代表が反発、結局は金ヒョンオ氏は委員長を辞任し、黄教安代表に近い候補が公認を得た。これを見た世論は野党を「親朴(元大統領)回帰党」と批判した。

 

「セウォル号事故」の記憶

 

 さらに、保守勢力に決定的打撃を与えたのが京畿道富川(キョンギドプチョン)市選挙区から立候補した車明進(チャミョンジョン)候補だった。

 車候補は4月8日のテレビ討論でセウォル号の遺族が座り込みテントの中で性的に乱れたことをしたという発言をした。「未来統合党」の倫理委員会は車候補に「離党勧告」をしたが、除名を免れた車候補は、その後も「セウォル号テントの真実を解明せよ」と主張し続けた。

 車候補は昨年4月にもセウォル号遺族を卑下する文章をフェイスブックに上げて問題を起こし、当時、党員権停止3カ月の警告処分を受けた人物だ。

 こうした問題を起こした人物が公認候補になっていることに有権者は強く反発した。「未来統合党は何も変わっていない」というイメージが急速に広がった。

 総選挙の行われた翌日の4月16日は乗員・乗客300人以上が死亡・行方不明になったセウォル号沈没事故6周年の日だ。韓国の人々は今なお、この惨事で深い傷を負っている。

 「未来統合党」の世論調査でも、30代から40代の中道層の支持が急速に低下し、党執行部は投票日直前の4月13日に除名処分を決定した。しかし、裁判所は手続き的に瑕疵(かし)があると処分無効を決め、車候補は選挙戦を完走した。

 保守側にはほかにも失言があり、総選挙は「未来統合党」が主張した「政権審判論」ではなく、「野党審判論」へと変化し、与党の歴史的圧勝となった。

 今回の選挙結果は、与党が新型コロナウイルス対応に成功した面が強いものの、野党の旧態依然とした体質が生んだ結果ともいえそうだ。

ジャーナリスト 平井 久志

 

(KyodoWeekly5月4/11日号から転載)

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