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トランスジェンダーで揺れる韓国

 韓国は儒教精神が強い国と言われるが、最近、心と体の性が異なるトランスジェンダーを軍や大学がどう受け入れるべきかを巡って揺れている。

 韓国陸軍は1月22日、休暇中に男性から女性への性別適合手術を受けた20代の下士官に対して、除隊させる決定を下した。軍は昨年7月の時点で下士官が性別で悩んでいることを把握。軍の病院は性別適合手術を受ける前に、手術を受ければ服務できなくなる可能性があることを伝えていたという。

 韓国メディアによると、陸軍戦車部隊に所属する下士官は性別による違和感に苦しみ、うつ病の状態が深刻になり、手術を決断したという。そして、昨年約2週間の休暇を取り、タイで性別適合手術を受けた。

 この下士官は除隊決定が出ると、実名や顔を公開して軍服姿で記者会見し「子どものころから軍人になるのが夢だった。女性兵士として軍に残りたい」と訴えた。さらに「所属部隊は自身の決定を支持してくれた」とし「手術後も服務継続を上級部隊に勧めてくれた。助けてくれたすべての戦友に感謝する」と述べ、涙を見せた。

 下士官は行政訴訟を検討しており、軍も裁判の行方を注視しているという。

 次のケースは大学だ。Aさん(22)は昨年8月にタイで性別適合手術を受け、昨年10月に裁判所から性別変更の許可を受けた。その後、日本の大学入試センター試験に当たる大学修学能力試験を受けて、韓国の有名女子大である淑明女子大法学部に合格した。

 大学側は志願前に性別変更の手続きが取られており、志願過程に問題はないとみていた。

 性別適合手術を受けて女性となった受験生が女子大に合格した初めてのケースとみられ、韓国メディアは1月30日にこの合格を報じた。

 すると、入学を巡り賛否の世論が沸き起こった。

 同窓会の一部ではオンライン上で「性別適合手術の過程を経た女性の2020年最終合格を歓迎する」として、合格者を応援しようという声が起こった。「トランスジェンダーに対する不足した理解と固定観念を根拠に『本当の女性』と『偽の女性』を区分けしようとする試みに強い憂慮を表明する」と指摘し、入学に反対しようとする人々を批判した。

 一方、淑明女子大や梨花女子大などソウル地域の6女子大の21団体は、2月4日に「女性の権利を脅かす性別変更に反対する」という声明を出した。

 この声明は「女子大は男性が女性の認定を受ける手段の場ではない」とし「『私を見て女子大入学を希望する他のトランスジェンダーが元気になればと思う』という(当該学生の)発言は、女子大を自身の変更された性別を証明しようという手段とするものだ」と批判した。

 結局、Aさんは入学手続き期限の2月7日までに手続きを取らなかった。Aさんは「入学反対の声に恐怖感が大きくなり、入学を断念した」と述べた。

 ハンギョレ新聞によると、Aさんは韓国で最初のトランスジェンダー弁護士のインタビュー記事を読み「他人の視線により自分を萎縮させてはならないと思った。その後、弁護士になって法律から疎外されざるを得ない社会的弱者を助けたいと思うようになった」と述べた。Aさんは来年、再び大学入試を目指すという。

 日本では、お茶の水女子大や奈良女子大が今年4月からトランスジェンダーの学生を受け入れることを決めているほか、全国に追随する動きが出ている。

ジャーナリスト 平井 久志

 

(KyodoWeekly2月24日号から転載)

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