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コメ生産量の向上を目指す タンザニア、水資源の利用提案

 「国際農研」ってご存じですか。正式名称は、「国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター」(茨城県つくば市)。この組織の目標は「世界から貧困をなくすこと。そのために世界中に食料を行き渡らせること」などを掲げる。本稿では、開発途上地域など調査をしている研究員の活動を紹介する。5回目は、タンザニアでコメを含む穀物の自給率向上に取り組む、廣瀬千佳子さんに登場してもらった。(編集部)

 

タンザニアってどんな国?

 

 東アフリカのタンザニアは、アフリカ大陸で最も高いキリマンジャロ山、世界遺産に登録されたセレンゲティ国立公園やンゴロンゴロ自然保護区などを有する自然豊かな国です。日本からは、年間約6千人の観光客が登山やサファリツアーに訪れているといわれています。また、「キリマンジャロ」で知られるコーヒーの産地としても有名で、そのコーヒーの輸出先第1位は日本。輸出量の約4分の1を占めています。皆さんのお家で飲まれているコーヒーはタンザニアで作られたものかもしれませんね。

 

アフリカのコメ事情

 

 われわれ日本人の主食であるお米。意外に思われるかもしれませんが、アフリカでも古くからコメが食べられてきました。もちろんコメだけではなく、トウモロコシ、イモ、調理用バナナなども主食として食べられてきましたが、コメは長期間保存が可能であること、調理がしやすいことなどから、都市化によって生活様式が変化した人々に好まれるようになり、アフリカ全体の人口増加の影響からも需要が増え、ここ50年で消費量が7倍になりました。そのため、消費量が自国の生産量を上回り、多くをアジアなどから輸入しているのが現状です。

 しかし、もしなんらかの理由で輸入がストップしたらどうなるでしょうか? 実際、2007~08年にコメを含む主要穀物の価格が世界的に急上昇し、穀物を輸入に依存しているアフリカの開発途上国で、食料不足や経済の低迷が生じたのです。このことから、コメを含む穀物の自給率に向上と安定的な確保が早急に求められており、国際農研ではアフリカにおいて食料を安定生産するための研究、技術の開発に取り組んでいます。

 

データ収集

 

 ここタンザニアで、タンザニア国家灌漑(かんがい)省、アルーシャ工科大学、キリマンジャロ農業技術者訓練センター、セリアン農業研究所と共同で、コメ生産性の安定化と生産量の向上を目的に、水資源を効率的に稲作へ利用するための手法を研究しています。現地では主に河川、降雨といった自然環境の調査や、農家が現在どのように水を分配し利用しているかといったデータを収集し、分析をしています。 水資源には限りがあり、農業への利用だけではなく、家畜の飲み水や生活用水などにも使用されますが、利用できる水資源は降雨量や降雨パターンにより変化し、特に近年は温暖化の影響もみられます。さまざまな要因を加味しながら、できるだけ少ない資源で大きな成果を生み出す水資源の利用方法を提案することを目指しています。

 

現地での楽しみ

 

 研究のために、現地に長く滞在することもあります。そんな滞在中の楽しみは、その土地の現地語を知ることです。タンザニアの公用語は英語ですが、タンザニア人の共通の言語はスワヒリ語で、このスワヒリ語には大変可愛らしい単語がたくさんあります。例えば、お母さんは英語と同じ発音で「ママ」ですが、お父さんは「ババ」で、おじいちゃんは「バブー」です。繰り返し言葉も多く、「ピリピリ(唐がらし)」「ダラダラ(バス)」「ポレポレ(ゆっくりゆっくり)」といった言葉はなんとなくその様子を表しているようで、親しみと柔らかみを感じ、聞くだけではなく使ってみたくなるのです。それに、朝のミーティングの前に「ハバリ(元気?)」、仕事後には「ポレナカジ(お疲れさま!)」といった簡単なあいさつだけでも、何となく相手がより親しみを持ってくれるような気がするのです。

謝辞:なお、本調査は農林水産省農村振興局の補助事業を受けて実施したものです。

[筆者略歴]

農村開発領域主任研究員

廣瀬 千佳子(ひろせ・ちかこ)

1975年生まれ、鳥取大学学士課程修了、現在大阪府立大学博士課程在学中

 

(KyodoWeekly1月27日号から転載)

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