国際
政治・経済・国際の解説&分析記事

韓国の昨年を象徴する四字熟語

 日本では年末にその年を象徴する漢字を選んだり、流行語大賞を決めたりするが、韓国でも毎年、大学教授の投票でその年を象徴する漢字の四字熟語を選んでいる。

 韓国の大学教授たちを読者にした「教授新聞」という新聞が2001年から発表しているもので、昨年の四字熟語は「共命之鳥」だった。

 この「共命之鳥」は「阿弥陀経」などの仏典に出てくる想像上の鳥で、体が一つで頭が二つの鳥だという。

 ある時、一つの頭が体に良いと思う実を食べたが、もう一つの頭は黙って食べられたことを憎んだ。そして、憎悪の気持ちから、毒の実を食べてしまい、結局は二つの頭とも死んでしまったという話があるという。日本では「共命鳥」(ぐみょうちょう)という言い方もするようだ。

 この「共命之鳥」が昨年の韓国を象徴する四字熟語に選ばれたのは、お互いが運命共同体のような存在なのに、激しい対立を続け、相手を倒そうとして結局は自分も滅びてしまう韓国社会の現在の状況を表しているからだ。

 教授新聞によると、この四字熟語を推した崔在穆・嶺南大教授は「われわれの社会は今、とても深刻な理念の分裂症状を起こしている。両極端の陣営をつくり、お互いが敵対視し、相手を倒そうと血戦中だ。そうしているうちに、みんなが危険な二分法的原理主義者になりつつある」と指摘した。

 韓国では、保守と進歩、男性と女性、富者と貧者、企業側と労働者といった階層間の激しい対立が繰り広げられているが、この対立がさらに激化すれば、それは自滅につながるという危機感がこの四字熟語を選ばせたようだ。

 韓国では今年4月に総選挙がある。文在寅政権への中間評価であり、次期大統領選挙へ向けた前哨戦でもある。教授たちの危機意識にもかかわらず、さらに保守陣営と進歩陣営の対立は深まりそうだ。

 ちなみに教授新聞が選んだ過去数年間の四字熟語を紹介しよう。

 中東呼吸器症候群(MERS)のまん延を防ぐことができず、歴史教科書国定化論議で混乱が起きた2015年は「昏庸無道」(愚かで無能な君主のために、世の中がまるで闇に包まれたように乱されていること)、ろうそくデモで朴槿恵政権が弾劾に追い込まれた16年は「君舟民水」(水(民)は舟(君主)を浮かべるが、転覆させることもできる)であった。朴槿恵政権が文在寅政権に交代した17年は「破邪顯正」(不正を破って、正義を明らかにすること)、南北首脳会談などがあった18年は「任重道遠」(任重くして道遠し)といった四字熟語が選ばれた。

 韓国では最近、あまり漢字を使わず、若者たちが漢字を知らない。年末に1年を振り返りながら、大学教授たちの思いを込めた四字熟語が発表されると各メディアも、これを報道をするが、漢字を理解しないで、この四字熟語の意味が分かるのかなあ、と毎年、疑問を抱くのである。

ジャーナリスト 平井 久志

 

(KyodoWeekly1月20日号から転載)

新型コロナ特集
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ