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比で増える10代の出産

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でもフィリピンは高い出生率で知られる。1人の女性が一生の間に産む子どもの数を示す指標である合計特殊出生率は2・64(2017年)で、ASEANではラオスの2・70に次いで高い。

 タイが既に1・53と少子化社会に至っていることを考えると状況は大きく異なる。労働力人口の増加率が人口全体の増加率を上回る「人口ボーナス」は、フィリピンでは今後30年は続くともいわれている。

 しかし、高い出生率の背後で進んでいる社会問題もある。10代の出産の急増だ。

 国連の「アジア太平洋地域における若者の性と性の健康に関する報告書」(16年)によると、それ以前の20年と比べ、アジアの国々における10代の出産件数は半数以下に減少したという。

 インドとその周辺国で多かった10代前半の子ども同士を親が強制的に結婚させる児童婚が減ったことが大きな理由とされているが、フィリピンだけは増加傾向にある。

 フィリピンの15歳から19歳の女性のうち、子どもを持つ女性の割合は02年には4・4%だったが、13年には11%にまで上昇した。10代の出産は婚外子を産む場合が圧倒的に多い。

 カトリックの影響力が強いフィリピンは少なくとも1990年代ごろまで、性に関しては保守的な国で、結婚前の性交渉はタブーと考える人が多かった。

 しかし、最近は性に関するリベラルな考え方が広まり、男女とも意識は大きく変わった。恋人同士が婚前に性的関係を持つことはフィリピンでも今はごく普通のことになっている。

 一方で、避妊技術の普及や人工妊娠中絶をタブーとするカトリックの影響だけは強く残っており、人工妊娠中絶は現在も違法とされている。

 フィリピン人口委員会は、10代で女性が妊娠・出産をすると、学校を中退せざるを得なくなるケースがほとんどであることから、将来的にも職を得る機会が非常に限られると指摘している。さらには、10代の出産は、本人へのケアや子どもの世話に家族も巻き込まれることから「貧困の連鎖が生まれる」と警告している。

 ただ、現在も3世代同居の大家族がごく普通のフィリピンでは、若い未婚の母たちが孤独な子育てに苦しんだり、社会から偏見の目にさらされたりするケースは比較的少ない。

 10代であれ、未婚であれ、子を産む女性への視線は温かさを感じる。その寛容さがまた、10代の出産率の高さにつながっている現実もあるのだが。

日刊まにら新聞編集長 石山 永一郎

 

(KyodoWeekly12月16日号から転載)

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