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ごめんな、何もできなくて

 関西の神社の境内にある絵馬に落書きが相次ぎ、京都では中国語などで注意書きを張り出す騒ぎになっている。被害に遭ったのは「香港に栄光あれ」とか「時代は革命だ」と中国語で書かれている絵馬だ。これらは香港の抗議デモ隊が掲げているスローガンである。「がんばれ香港」というのもあった。香港の観光客が祈りを込めて書いたのだろう。その願い事の上にバツをする。中国語で非難めいた言葉を書く。神聖な神社でなんという罰当たりなことをするのだ。

 6月から香港の動きが気になり、こんなニュースにも敏感に反応するようになった。日本の新聞やテレビでは情勢がよく分からない。そこで香港から発信するツイッターを直接見るようになった。いくつもの情報源を毎日開いて観察していると、香港の動きが分かる。「民主派」が圧勝した区議会選挙を挟んで抗議デモは小康状態を保っている。だが、香港政府は若者の要求には応じないと表明したので、これで収まらないだろう。

 デモを鎮圧しようとした警察官を撮影した動画は「ひどい」の一言に尽きる。香港のような文明社会でこんな蛮行が許されていいのだろうか。高校生や学生の胸を至近距離から警官が拳銃で撃つ映像を見た方はいるだろう。取り押さえた若者を武装警官が取り囲んで警棒で殴打する。警察のバイクで道路の若者めがけてぶつかっていくのもある。捕まえた若者を犬のように四つんばいで歩かせていた。有毒物質が入った高熱の催涙ガスは撃ち放題、高いビルの上から、走る警察車両から発射する。報道陣は敵にみえるらしく、手投げ式の催涙ガス弾を、記者たちの頭上で爆発させる。不審死や自殺扱いの変死体が増えており、警察施設で拷問が行われていると若者たちは訴えていた。

 デモ隊も過激だった。道路に障害物を置いて封鎖する、中国系の店舗は壊す、地下鉄の施設は破壊する。デモに紛れ込んでいる私服警官を見つけると取り囲んで殴る蹴る。捕まえた警官に火炎瓶を投げる動画もあった。しかし、暴力はいけないと、だれが言えただろうか。

 香港警察の常軌を逸した野蛮な行為を憂慮して、米国は「香港人権・民主主義法」を成立させ、香港政府の後ろにいる中国を強くけん制した。

 それに比べて日本の国会はどうだろう。香港の若者たちが「日本の皆さん、支援して」と訴えているのに、見て見ぬふりではなかったか。「桜を見る会」の審議で忙しく、それどころではないのか。国会決議ぐらいはどうしてできない。日頃は「人権侵害だ、自由の抑圧だ」と声高に言い募る団体や人たちはどうしているのだ。

 何もできなくて、しなくて、ごめんな、香港の若い人たちよ。(嵐)

 

(KyodoWeekly12月9日号から転載)

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