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比大統領緊急帰国と娘サラの存在

 フィリピンのドゥテルテ大統領が10月22日の即位礼正殿の儀に出席後、「背中の痛み」を訴えて同日夜、急きょ日本から帰国した。本来は24日まで滞在し、安倍晋三首相とも会談する予定だった。

 これをめぐって、フィリピンではさまざまな観測が飛び交っている。

 最初にうわさされたのは74歳の大統領をめぐる健康危機説だった。

 しかし、その後、大統領報道官らが「背中の痛み」は直前に大統領府内の庭で、愛用の大型バイクを乗り回した際の事故が原因の一時的なもの、と説明した。実際、大統領は帰国したその夜に旧知の元上院議長の通夜に空港から直行している。

 代わってソーシャルメディア上で飛び交ったのは、かしこまった儀式を大の苦手とする大統領の「確信犯」説だった。

 最大の支援国・日本に対し、即位礼正殿の儀だけは出席して義理を果たし、当初から早めに帰国するつもりでいたとの説だ。

 ドゥテルテ大統領はフォーマルな民族衣装は着てもスーツはまず着ない。10月のロシア訪問の際は着たものの、メドベージェフ首相との記者会見では、ネクタイが緩み切ったまま現れ「一晩中飲んでいたのか」とロシアのソーシャルメディアでこき下ろされた。今回の即位の礼で着たモーニングも、サイズが小さ過ぎたようで、実に不格好だった。

 

最有力候補

 

 大統領に代わって一連の晩さん会に出席したのは娘として同行したミンダナオ島ダバオ市長のサラ氏で、フィリピンの伝統的礼服を着て、天皇陛下や安倍晋三首相との会話も笑顔でそつなくこなしていた。

 実はこのサラ氏、2022年の次期大統領選の最有力候補と言われている。まだ41歳だが、昨年、地方政党・改革党を創設したかと思うと、上院議員ら多くの政治家が同党に入党または連携を表明し、瞬く間に全国的な影響力を持つに至った。父に似た激しい気性も持つが、ちゃめっ気があってダバオでは圧倒的な人気を誇る。

 フィリピン大統領の任期は1期6年で連続再選は禁止だ。ゆえに任期半ばを過ぎるとレームダック(死に体)になりがちだが、ドゥテルテ大統領にその気配はなく、支持率も依然として8割と高い。その理由の一つに「サラの存在」を指摘する声は多い。

 今のところドゥテルテ大統領は「こんなつらい仕事を娘には絶対にやらせない」とサラ氏の出馬を否定、サラ氏も出馬の意思を示していないが、政界内では「最後は結局サラが出てくる」との見方は強い。

 そんな下馬評も加えて考えると、今回の緊急帰国には、サラ氏に華やかな外交デビューの機を与える大統領の腹づもりが最初からあったようにも思えてくる。

日刊まにら新聞編集長 石山 永一郎

 

(KyodoWeekly11月11日号から転載)

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