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国際逃亡犯の取材

 違法にコピーした人気漫画を無断で公開していた海賊版サイト「漫画村」(閉鎖)を巡る著作権法違反事件で、サイトの元運営者で国際手配されていた星野路実(ろみ)容疑者(27)が9月24日、拘束されていたフィリピンから日本へ強制送還された。

 テレビなどの報道では、紺色のTシャツを着た星野容疑者が、入管の職員に連行され、マニラ空港内を足早に立ち去る姿が映し出されている。「容疑を認めていますか?」という報道陣からの問い掛けには、応じなかった。

 星野容疑者が拘束された7月上旬、私はフィリピン入国管理局収容施設にいる男性収容者A氏に携帯電話で連絡を試みた。週刊誌からの寄稿依頼で、同じく収容されている星野容疑者の様子などが聞き出せればと思ってのことだったが、A氏からの返事はなく、どうやら拒まれてしまったようだ。

 昔から変わっていないが、フィリピンの入管の収容者は、携帯電話の保有が〝裏〟で認められている。

 実はこの半年ほど前の昨年末、積水ハウスが地面師グループに土地購入代金をだまし取られた事件の主犯格、カミンスカス操(みさお)被告(当時59)が逮捕された時は、その「豪華」な収容生活ぶりについて、A氏からこんな話を聞いていた。

 「床で寝ている収容者がいる中、カミンスカス氏には、最初からベッドが用意されていた。施設で出される食事には手を付けず、金で外部から調達していました」

 フィリピンの収監施設では、職員への賄賂と引き換えに「VIP待遇」を受けられる腐敗体質が続いてきた。その実態を週刊誌に報じたのだが、記事をネットで読んだカミンスカス被告が、暴露されたことに気分を害しているというのだ。

 星野容疑者が逮捕された時は恐らく、この経緯があったため、A氏が警戒心を抱き、返事をしなかったとみられる。

 私がフィリピンに住み、日刊まにら新聞で記者として働いていた10年以上前は、この入管施設に通い、収容者たちと面会を繰り返すのが日課だった。

 その多くは、日本で犯罪に関与し、逮捕状が出る前に高飛びした国際逃亡犯だ。通貨偽造、覚せい剤所持、拳銃密輸、収入印紙偽造、脱法ドラッグ所持、車両窃盗…、今思い浮かべるだけでも彼らの犯罪行為が口をついて出てくる。

 面会時はたばこなどの差し入れを渡し、仲良くなってくると、逮捕された国際逃亡犯が施設へ移送されるたびに、携帯電話で速報をくれた。それを受けて逃亡犯に面会に行き、彼らの言い分を聞いて記事にしていた。

 その頃はまだスマホが普及する前だから、書いた記事が即刻、収容者にネットで読まれることはなかった。だが、皮肉なことに、フィリピンの国際逃亡犯を取材する際には、スマホの便利さが足かせになってしまった。

ノンフィクションライター 水谷 竹秀

 

(KyodoWeekly10月14日号から転載)

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