国際
政治・経済・国際の解説&分析記事

老後はアジアで暮らす

 年金生活に入った後は、海外で暮らしたいと考えている人も少なからずいると思う。

 よほど貯金がある人は別として、基本的に年金だけで暮らすとなると、移住先はやはりアジアになるだろう。それも物価が比較的安く、文化的にも日本に近い東南アジアが最も現実的ではないか。

 英調査会社エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が今年3月に発表した世界主要都市の生活費調査によると、ニューヨークを100とした物価指数で東京は96だったという。

 東南アジアの首都では、バンコクが78、ハノイが71、プノンペンが66、クアラルンプールが59、マニラとジャカルタが57となっている。マニラ、ジャカルタであれば東京の約6割のコストになるが、各都市ともこれよりもさらに安く暮らせる実感がある。

 というのも、この指数は、平均的な企業駐在員らの生活コストから算出しているからだ。子どもを日本人学校などに通わせる必要がない高齢者の場合は、コストが大幅に減る。個人的な適応力と、望む生活環境次第で生活コストはさらに下がる。

 マニラの例では、プール、ジム付き清潔なマンションのワンルームで家賃4万円、食費は日本食中心でも5万円、通信費1万円、水道光熱費1万円ぐらいが夫婦の月額の基本生活コストだ。年金がそれ以上あれば、残りは遊興費に回せる。老後資金への不安が募るばかりの日本人にとって、アジア移住は今後、有力な人生の選択肢の一つになっていくはずだ。

 ただ、高齢になるほど、夫婦のどちらかが高額な医療費がかかる持病を抱えていたり、高齢の親に対する、いわゆる老老介護の問題を抱えていたりと、海外に出にくい事情を持つ人も多くなる。

 老老介護の問題がある場合は、思い切って高齢の親と一緒に移住すれば、介護はフィリピン人がつきっきりで手伝ってくれるし、親の年金も合わせれば生活にさらに余裕ができるのだが、その世代の親に海外移住を説得するのはなかなか難しいようだ。

 ただ、実際に介護が必要な親も連れて移住した人からは「温暖な気候と異文化の刺激で親が前より元気になった」という話はよく聞くのだが。

 一方、夫が移住を希望しても妻が反対するケースやその逆もある。「家庭内のビザが出ない」といわれるケースだ。

 最近のマニラは治安改善が著しく、日本のテレビ番組が全局見られるようになるなど、生活の利便性も急激に向上している。日本人の高齢者の団体もあり、定期的にゴルフ会やカラオケ会も開いている。異文化への受容性が高い人ほど、移住がうまくいっている印象がある。その前段の最大の課題は、日本のしがらみをどこまで断ち切れるか次第でもあるようだ。

日刊まにら新聞編集長 石山 永一郎

 

(KyodoWeekly9月16日号から転載)

「持続可能な食と地域を考える」シンポジウム
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証
TAFISAワールドコングレス2019

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ