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ブラジルで進む〝テック社会〟

街中のライドシェア用自転車のスタンド。スマホ片手にカリオカ(リオデジャネイロ住民と出身者の愛称)が愛用している(筆者撮影)

 筆者がブラジルで生活を始める前、この国のイメージはサッカー、サンバのほか、アマゾン、貧困、治安の悪さなど、典型的な途上国のものであった。

 実際、ブラジルではインフラ基盤のもろさや、のんびりとした国民性に不便を感じることも多々あるが、ブラジル人には新しいもの好きなところがあり、特定のテクノロジーでは先進国並みに進んでいることに気づかされる。

 例えば、日本では普及が進んでいない、配車アプリ「ウーバー」が、ブラジルでは安価で利便性の高い移動手段として市民の足となっている。

 自転車や電動スクーターのライドシェアも進んでおり、街中でしばしば利用者を見かける。電動スクーターは自転車と異なりスタンドに返す必要がなく、使い終わったらその場で乗り捨てられるためより気軽に使える。 スーパーではセルフレジが普及し、自分で機械に商品のバーコードを読み取らせ、バーコードのない野菜などはディスプレー上で商品を選び台に置けば、勝手に重さを量って料金に算入してくれる。あとは機械でカード決済するだけである。

 ライドシェアのほか、南米を中心に外国でも使える乗り継ぎ検索アプリ、複数のスーパーの商品を取り扱う配達アプリ、不動産会社を介さずに家主と直接賃貸交渉ができる不動産検索アプリなど、便利で面白いアプリも多く普及している。

 銀行や行政のデジタル化も進み、資金決済をスマホのアプリで済ませ、公証手続きがデータのやり取りで済むことも一般的だ。運転免許証や車検証もデジタル化しており、スマホがあれば免許証の常時携帯は不要である。

 このような新しいサービスの浸透の一部にはブラジルが抱える諸問題が背景にある。

 例えばウーバーの普及には、タクシー乗車時のぼったくりを含むサービスの悪さや高い失業率(運転手になりたい人の多さ)があり、自転車ライドシェアの普及には私用自転車の盗難被害の多さがある。スクーターの歩道での衝突事故の多発など、新たな問題も顕在化しており、後追いで規制をかける動きもでている。

 しかし、課題の多さのみならず、新しいものに寛容でポジティブに向き合うブラジルの国民性も間違いなく背景にある。 ブラジルのユニコーン企業(企業評価額が10億ドル以上、設立10年以内の非上場のベンチャー企業)の数が米国、中国に次いで第3位であるのは決して偶然ではないだろう。

 新興企業による新しいサービスの導入により、デジタル化を通じた新しい形での社会基盤が整備されるかもしれない。〝テック社会〟が扉を開く、ブラジルのこれからに期待したい。

(国際協力銀行 リオデジャネイロ駐在員事務所駐在員 片山 周一)

 

(KyodoWeekly9月9日号から転載)

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