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インドの最新地下鉄事情

 インドの鉄道といえば、車内が乗客でごった返し、車両の上にも乗客がいる光景を思い浮かべる読者もいるのではないだろうか。

 しかし、デリー首都圏を走る「デリー・メトロ」ではまったく違った光景が広がる。

 デリー・メトロは設立25周年を迎えたデリー・メトロ鉄道公社(DMRC)により運営されており、路線は年々拡張、現在は271の駅および営業距離は373キロにも広がる。

 その営業距離は東京の地下鉄網を超え、ニューヨークに匹敵するほどだ。日本は初期のメトロ建設段階から資金面および技術面で支援を行っており、東京メトロの色分けによる路線の識別手法を参考に、レッドラインやイエローラインなど現在9路線が開通されている。

 利用客は現在1日250万人を超え、市民の欠かせない足となっている。

 デリー・メトロの乗り方もスムーズだ。駅構内に入る際にセキュリティーチェックはあるものの、販売機または窓口で、トークンと呼ばれるコインまたは、プリペイドカードを購入する。初乗り料金は10ルピー(約16円)と格安で、列車本数も多く運行間隔は10分程度だ。路線ごとに異なるものの、通常朝5時30分ごろから夜12時ごろまで営業している。

 

自動車から公共交通へ

 

 朝夕の通勤時間帯には混み合うものの、その他の時間帯は比較的空いている。車内はきれいに清掃されており、乗客のマナーも良い。インドの町中に広がる車、バイク、オートリキシャ(自動三輪タクシー)、人、牛が右往左往するような世界とは無縁だ。

 また、女性車両や優先座席も設置されており、当事務所女性職員によると、女性車両に男性が乗車していることもなく夜間の乗車も全く危険がないとのことで、安全面も問題なさそうだ。

 メトロ網の充実は環境改善にもつながる。政府は民間の力を活用する官民パートナーシップ方式(PPP)を取り入れ、インド国内でメトロを普及させる計画だが、国際環境保護団体「グリーンピース」と民間機関「エアビジュアル」が実施した2018年の大気汚染が深刻な都市ランキングでインドの都市がワースト10のうち7都市を占める状況だ。メトロ網を充実させ、移動手段を自動車から公共交通へとする動きに期待したい。

 現在施工中の第3次拡張計画が完了するとデリー・メトロは世界で最も大きな地下鉄ネットワークとなる予定だ。観光地に行く際は最寄り駅までデリー・メトロを使用し、そこから目的地まではリキシャを使い、インドの新旧交通事情を味わってみるのも面白いかもしれない。

(国際協力銀行 ニューデリー駐在員事務所 駐在員 藤井 達也)

 

(KyodoWeekly8月12日・19日号から転載)


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