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白頭山、千年ぶりに大噴火?

 北朝鮮と中国の国境に「白頭山(ペクトゥサン)」という山がある。標高2744メートルで、中国側では「長白山」と呼んでいる。北朝鮮でも中国でも「聖山」とされる。特に北朝鮮では、故金日成主席が抗日パルチザン闘争を展開した「革命の聖地」である。昨年9月には韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が一緒に登り話題になった。

 この白頭山で、約千年ぶりの大噴火があるのでは、という指摘が出ている。白頭山は活火山だ。

 韓国の与党「共に民主党」の沈載権議員らが主催、韓国科学技術外交協会と韓国地質資源研究院が共同主管して6月26日、国会議員会館で「政・官・学カンファレンス」が開催された。白頭山の噴火の可能性や北朝鮮との南北共同研究について議論するための会議だった。これをきっかけに、韓国内で白頭山の噴火への関心が高まった。

 韓国地質資源研究院によると、白頭山は約千年前の946年に大噴火があり、朝鮮半島南部の韓国まで約1メートルの厚さで覆う膨大な噴出物があったという。研究院によると、過去1万年の地球の歴史の中で、最大規模の大噴火とみられている。ある大学教授の推定では、この時の大噴火のエネルギーは東日本大震災の約4倍に当たるという。北朝鮮の研究者は、火山灰は当時、朝鮮半島だけではなく日本の北海道まで達し、北海道にも厚さ数センチほどの火山灰が降ったとしている。

 実は、白頭山では2002年から05年にかけて、異変や地震が多発する現象が起きた。安定期には月7回ほどだった地震が平均で70回以上になり、03年11月には243回に達した。

 中国の研究では、04年には熱やガスが原因ではないかとみられる樹木の枯死があり、同10月におびただしい数のヘビが道路を横断するという異変がみられた。白頭山の山頂が数センチほど隆起しており、これらの現象は、より深い場所のマグマが上昇するなどマグマ活動の活発化が原因ではないかとみられた。

 06年からは、地震の回数が急速に減少し、マグマの活動も沈静化しているとみられている。

 しかし、白頭山の頂にあるカルデラ湖「天池」の下にはマグマが存在し、地下における火山活動がどのようになっているかは明らかではない。

 聯合ニュースによると、北朝鮮の地震庁のキム・ヒョク分科長は今年5月下旬に英国で開かれた学術会議に出席し「16年から18年まで白頭山周辺で10回の地震が起きた。地中の敏感度が高まっている」と語った。この発言の地震がどのレベル以上か明らかではないが、白頭山の地中の不安定性が高まっている可能性に言及したという。

 最近、地震が少ないといわれていた朝鮮半島でも結構、地震が発生している。北朝鮮の黄海北道の松林市では6月に震度2から3の地震が8回も起きた。

 白頭山の状況は06年からやや沈静化しているが、もし大噴火が起きれば、被害は北朝鮮だけにとどまらないだけに、政治体制などを超えて東アジア地域の共同研究が必要だ。

(ジャーナリスト 平井 久志)

 

(KyodoWeekly7月22日号から転載)

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