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韓国で親の体罰禁止、民法改正へ

 韓国の保健福祉省によると、2017年に成人1千人を対象にした調査で「体罰は必要か」という質問に「状況によって必要」が68・3%、「必要だ」が6・5%、「とても必要だ」が2%で、全体の76・8%が体罰の必要性に同意した。

 日本と韓国では、家庭や学校での体罰を認めるような雰囲気があるようだ。儒教精神が日本より強い韓国では、日本よりそれが強い気がする。

 保健福祉省が国会議員に出した資料によると、昨年の児童虐待の件数は2万4433件で、1日平均67人の児童が虐待を受けたことになる。昨年、虐待で死亡した児童は30人に達した。

 児童虐待の77%は両親によるもので、多くの児童虐待は家庭内で起こっている。

 こうした状況を受けて、保健福祉省、教育省、法務省などが5月23日に合同で「包容国家児童政策」と名付けた新政策を発表した。その方向性は、児童を「養育」や「訓育」の対象とするのではなく「幸福になる権利を持った主体」として認識しようということだ、としている。

 韓国でも、親権者による体罰が「虐待」なのか「愛のムチ」なのかの区分は明確ではない。最終的には裁判所が、社会的な状況や個別のケースごとの事情をどう判断するかに掛かっていると言ってよい。

 韓国の民法には第915条で「親権者は子供を保護、または教養するために必要な懲戒が可能」とされている。

 一方で、児童福祉法では「保護者は児童に身体的苦痛、精神的苦痛を与えてはならない」と規定している。児童虐待を犯した親たちはしばしば民法の規定を根拠に、親には懲戒権があるとして無罪を主張する。

 韓国政府は今回、こうした混乱をなくすために民法を改正する方針だ。現在の民法にある「懲戒」という用語は「親が子供に体罰を加えても良い」というニュアンスがあるため、こうした用語を使わず、体罰は違法だという内容に変えることを検討している。

 民法で親権者の懲戒権を認めているのは、世界でも日本と韓国くらいだという。韓国メディアによると、スウェーデンをはじめ、昨年までに54カ国が児童への体罰を法律で禁じている。

 韓国政府のこうした方針に沿い、韓国の警察当局は5月24日、「虐待」と「しつけや教育」の線引きのための「児童虐待捜査マニュアル」を作成し、各警察署に配布したと発表した。

 このマニュアルでは「教育の目的が正当で、その手段・方法が適切であっても、身体に傷が生じたり、心理的虐待に至ったりするほどの行為をしてはならない」としている。「心理的虐待」の類型についてもまとめ、子供をどなりつけたり、施設に捨てるなどと繰り返し脅したりする行為は言葉の暴力になるとした。

 日本でも、今年1月に千葉県野田市で小学校4年の女児が父親による虐待で死亡した事件があり、児童虐待防止の声が高まっている。衆院厚生労働委員会は5月24日、親の「しつけ」名目での体罰を禁止する児童虐待防止法と、児童福祉法の改正案を全会一致で可決、今国会で法改正が実現する見通しだ。

 民法の懲戒権について、野党は早急な見直しを求めているが、安倍晋三首相は「徹底的に議論し、適切な結論が得られるよう全力で取り組む」と答弁し、来年4月に改正法が施行されてから2年をめどに検討するという姿勢を変えなかった。韓国が民法を改正すれば、民法で親権者の懲戒権を認めるのは日本だけになる可能性も出てきた。

ジャーナリスト 平井 久志

 

(KyodoWeekly6月17日号から転載) 


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