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ドゥテルテ支持率79%は秩序への評価

 フィリピンでの3月の世論調査によると、就任から3年を迎えつつあるドゥテルテ大統領への支持率は79%で、依然として驚くほど高い。

 独裁的との批判もあるドゥテルテ大統領だが、歴代のフィリピン大統領の中でも、汚職に対しては最も厳しい姿勢を貫いている。高支持率の最大の理由はここにあると思っている。

 たとえばフィリピンの警察官といえば、つい最近までは「警察の仕事もする暴力団」という印象さえあった。地域の飲食店で無銭飲酒をしたり、風俗店から「みかじめ料」を取ったりするため庶民の評判は最悪だった。

 その警察官にドゥテルテ政権は「勤務時間外の私服姿であっても公衆の面前での飲酒全面禁止」を命じた。さすがに厳しすぎるのではとも思ったが、過去の警察官のふるまいゆえ、飲食店側は歓迎のようだ。実際にマニラでは警察署近くのバーで飲酒していた警察官が同僚に逮捕されている。

 近年、外国資本による建設が盛んなカジノへの入場も警察官を含む公務員は全面禁止としている。その分、警察官の初任給を日本円で約3万円から約6万円へと一気に倍増させた。公務員全般の給与もかなり上げている。

 税務関係職員も腐敗のすさまじさで知られていたが、ドゥテルテ政権は各地の税務署や税関に税徴収の年間目標額を指示。これに達しなかった場合は署長を即座に更迭する方針を昨年打ち出した。これによって税収は増え続け、1~3月期に至っては前年同期比25・5%増だ。職員の懐に入っていた分が国庫に収まるようになったようだ。

 現在も断固として進めている麻薬取り締まりでは「抵抗した容疑者はその場で殺せ」と命じ、実際に過去3年間で少なくとも5千人以上が殺されている。確かに人権上、多くの問題があるのは事実だが、これにより治安が急速に改善したことは多くの庶民が実感している。

 フィリピンの人々が長年切望していたのは、経済発展や民主主義の成熟よりもまず、社会秩序の改善であり、日々の生活の中で感じてきた公務員の不正義是正だったとみられる。「法と秩序さえ整えれば、後のことは自然にうまく行く」。大統領はミンダナオ島のダバオ市長時代から常にそう言っていたと聞く。

 一定水準以上の秩序が既にある先進国の視点で、途上国の民主主義、人権、言論の自由などの問題を批判するのはたやすいが、社会秩序の乱れが顕著な国では、人々はまず秩序の回復を願う。ドゥテルテ人気がなお陰りを見せない理由は「秩序の立て直し」が何よりも歓迎されているためだと思っている。

 ジャーナリスト 石山 永一郎

 

(KyodoWeekly5月13日号から転載) 


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