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政治・経済・国際の解説&分析記事

アイドル・ガイドラインの奇妙さ

 どこの国でも、国民が頼みもしないのに、お役所が奇妙な仕事をして、国民の意識との乖離(かいり)を露呈することがある。

 韓国の女性家族省は2月に、2017年に出した「性平等放送プログラム案内書」というガイドラインの改訂版を作り、放送局や制作会社に配布した。案内書には、放送局や番組制作会社が番組を作る時の指針が盛り込まれている。

 

「容姿画一化は深刻」

 

 この中に「音楽番組の出演者の容姿の画一化は深刻だ。ほどんどの出演者がアイドルグループで、音楽的な多様性がないだけでなく、出演者の容姿も多様性がない。ほとんどのアイドルグループのメンバーの容姿は痩せた体、白い肌、似たようなヘアスタイル、体つきがあらわな服装、似たようなメークをしている。容姿の画一化は男女ともそうだ」とした。

 その上で「同じような容姿の出演者が過度の割合で出演しないようにしなければならない」「状況に合わない、過度な化粧、露出、密着衣装、身体露出をしない」などと、番組制作に対する具体的な指示とみられる内容まであった。

 こうした内容が報じられると市民から「なぜ、政府が番組出演者の容姿まで検閲するのか」「美しいという基準はそれぞれ違う。それを国が統制するのか」と反発が出た。

 有力紙「中央日報」は、社説で「実現の可能性が低い過剰規制に加えて、芸能人の容貌、視聴者の好みの領域まで国家が介入・統制しようとする国家主義的発想は危険だ」と批判した。

 野党「正しい未来党」の河泰慶(ハ・テギョン)議員は「女性家族相は女・全斗煥(元大統領)か。なぜ、容姿について女性家族省の基準で取り締まるのか」とかみ付いた。

 女性家族省は「案内書は番組制作の考慮すべき点を提案したもので、規制や統制ではない」と弁明した。しかし、政府が放送局や番組制作会社に指針を示せば、それは規制や統制と受け取られることは避けがたい。同省は結局、その内容を修正、削除に追い込まれた。

 

政権の人気下降の要因にも

 

 世論調査会社「リアルメーター」は、2月21日に文在寅政権への世論調査結果を発表したが、全体の支持率は前週より0・1ポイント上がり、49・9%、不支持は同0・4ポイント上がった44・4%だった。だが、20代の支持率は41・5%で前週より4・3ポイント下がり、文在寅政権の発足以来、最低を記録した。

 世論調査会社は、20代の支持率低下は政府がインターネットの有害サイトの遮断を持ち出して「検閲ではないのか」と論争になったことや、このアイドル・ガイドライン問題が影響したのではないかと分析した。

 韓国社会やテレビ局の放送内容に「容姿至上主義」のような傾向があるのは事実だろう。その問題点を学者や専門家が指摘するレベルであれば、市民からそれほど強い反発は起きなかったと思われる。

 容姿の違う人を同じ比率で出せとか、アイドルたちのスタイルやメークを変えろとかいう「指針」まで出せば、それは朴正熙政権時代に物差しを持って、長髪を切ったり、スカートの丈をチェックしたりしたのと差がなくなってしまう。

 権力がメディアに介入してはならない。人気が下降気味な中で、政権側が変に実績を出そうと、奇妙なことをやろうとして、余計に人気を落としているのが、最近の文在寅政権を取り巻く状況だ。

ジャーナリスト 平井 久志

 

(KyodoWeekly3月25日号から転載) 


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