国際
政治・経済・国際の解説&分析記事

Time can heal

 2月27日から2日間にわたり、ベトナム・ハノイで、第2回米朝首脳会談が行われた。米国と北朝鮮は歴史的には敵対的であり、近年のミサイル実験と核問題による緊迫も懸念されてきた。

 しかし、2018年の史上初の米朝首脳会談は、緊張緩和をうかがわせた。さらに、対話を行い、安全保障、地域の安全と平和の維持を呼び掛ける共同声明が署名されたことから、非核化の進展が期待されている。今回の第2回首脳会談により、米朝が具体的な成果を上げることができるかを、世界中が注目している。

 歴史的な会談の舞台に選ばれたベトナムは、積極的に受け入れの準備を行い、平和への願いを込め、熱烈歓迎する様子をみせた。では、ベトナム人がなぜその大歓迎の情熱を持っているのか、ベトナムと米国および北朝鮮の外交関係・歴史から考えてみたい。

 まず、ベトナムと北朝鮮との関係をみてみよう。社会主義国同士として、両国は外交関係を1950年に樹立。ベトナム戦争期に、北朝鮮からの軍事的な援助、双方のトップリーダーによる公式訪問が行われた。そして、その後ハノイに設立された「越朝保育園」は、両国の友好関係のシンボルとして現在まで大切に運営されている。

 しかし、ベトナムと北朝鮮の関係は常に良好だったわけではない。90年代において、ベトナムと韓国・米国などとの外交関係により、越朝関係は希薄化。さらに、2017年、マレーシアでの金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件にベトナム人女性が関与したとして、両国の関係が一段と悪化した。しかし、18年の北朝鮮の外相による訪越で、両国関係は再び改善に向かった。

 次に、ベトナムと米国との外交関係について振り返ろう。北朝鮮との関係と違い、ベトナムと米国は戦争抜きには語れない。注目すべき事案を列挙すると、1950年(インドシナ戦争で米が仏軍へ援助)、54年(仏越交戦が終わった南ベトナムにおける傀儡(かいらい)政権であるベトナム共和国を米が支援)、64年(トンキン湾での北ベトナムによる米国艦への襲撃をきっかけに、本格的にベトナム戦争に突入)、73年(パリ和平協定によりベトナムから米軍全面撤退)であった。

 厳しい戦争が両国間の外交関係に悪影響を及ぼし、敵対関係からの脱出と完全な正常化まで20年弱かかった。そのためか、ベトナム人は戦争の被害、平和の価値を世界中に改めて宣伝したがっているようにみえる。

 ベトナム・北朝鮮・米国について、外交関係の歴史のページを開くと、もともと良好だった関係が悪化したり、敵対的だった関係が改善したり、さまざまなシーンがみられた。米朝だけをみても、敵対的な関係から対話の段階まで達成でき、新しい歴史が築かれてきた。

 ただし、今回の首脳会談によって歴史に美しい1ページを残すには、さまざまな要素が必要となる。異なる政治システム、残っている経済制裁、非核化の進展など、乗り越える壁はいくつかある。しかし、誠意があれば、敵対的だった相手でも友人となれることを世界の歴史に示してほしい。「時が癒やしてくれる」からだ。

(アジア太平洋研究所 研究員 カオ・ティ・キャン・グェット)

 

(KyodoWeekly3月11日号から転載)

PR特別企画
スポーツ歴史の検証
スポーツ歴史の検証
TAFISAワールドコングレス2019

K.K. Kyodo News Facebookページ

ニュース解説特集や映像レポート、エンタメ情報、各種イベント案内や開催報告などがご覧いただけます。

矢野経済研究所
ふるさと発見 新聞社の本
DRIVE & LOVE
11月11日はいただきますの日
野球知識検定
キャッチボールクラシック
このページのトップへ