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不思議の国「イギリス」

スコットランド(エディンバラ)の街並み=2018年、筆者撮影

 

「連合王国」を実感

 

 「イギリス」の正式名称をご存じだろうか。「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」である。私がイギリスで暮らすようになり、最も驚いたのが「複雑さ」だ。かつて大英帝国と呼ばれて世界中に植民地を有したイギリスが、現在も残るイギリスという国を存続させることにこれほど労力をかけているとは、この国に住むまで想像もしていなかった。

 駐在した最初の夏に、女王が暮らすバッキンガム宮殿の衣装展示を見に行き、イングランド、スコットランド、ウェールズおよび北アイルランドという、イギリスを構成する4地域を象徴する植物が刺しゅうされたケンブリッジ公爵夫人キャサリン妃の婚礼衣装を見て、イギリスが「連合王国」であることを改めて意識した。

 その年に、ウェールズとスコットランドを訪れた。ウェールズでは、交通標識などもすべてウェールズの地域言語であるウェルシュが最初に表記され、英語は下に表記される。街で話されているのは、独特のウェールズ訛(なま)りの英語か、たまにウェルシュも聞こえる。現地の人によると、ウェールズ政府が義務教育でのウェルシュ教育に力を入れたことで、ウェルシュが復活したそうだ。

 スコットランドでは、テレビをつけるとBBCアルバという国営放送の地方放送局があり、スコットランド語のドラマが流れていた。スコットランド語はアイルランド語に近いそうで、アイルランド人の友人いわく「スペルは異なるが、音が似ていて何となく意味が分かる」という。日本人が、中国語の文章を見て、発音はできないが漢字から何となく意味をくみ取れるのと似たようなものだろうか。

 

EU離脱の行方

 

 さて、このスコットランド。2014年にイギリスからの独立を問う住民投票を実施。辛うじて独立は否決され、イギリスへの残留が決まった。しかしながら、16年にBREXIT(ブレグジット)と呼ばれるイギリスの欧州連合(EU)離脱方針が決定したことで、EUへの残留派が優勢なスコットランドでは、再び独立を求める機運が高まっている。

 一方の北アイルランドは、かつて北アイルランド独立を求める武装組織アイルランド共和軍(IRA)がロンドンなどでテロを繰り返した。イギリスが超監視社会と呼ばれるほど街中に無数の監視カメラを設置しているのは、IRAのテロ対策のためである。ブレグジットは、北アイルランドの独立問題も再び惹起(じゃっき)している。

 EUの関税同盟から完全に離脱することになれば、EUに加盟するアイルランドとEUを離脱する北アイルランドとの間の国境管理は大きな問題となるが、現実的な解決策はいまだに提示されていない。

 ブレグジットが与えるイギリスという国そのものへの影響を注視しながら、駐在期間中にぜひ北アイルランドを訪れてみたい。

(国際協力銀行 ロンドン駐在員 事務所駐在員 渡邉 麻)

 

(KyodoWeekly11月26日号より転載)


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