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栄養豊富で魅力的な食材「ジビエ」 リスクに留意し正しく調理することが重要

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 国土の7割弱を森林が占める日本。そこに住む人々は、昔からシカやイノシシなどの野生動物と共存してきた。しかし、開発が進んで生息域が侵食されたり、少子高齢化や過疎化によって、適切な里山保全や森林管理が行われなくなったりした結果、野生動物が人の住む場所に進出し、農林業に多大な被害を及ぼすようになった。被害額は、毎年200億円に達する。

 被害を及ぼす野生動物の現在の頭数は明らかに多過ぎるという。適正な数にするためには、シカやイノシシを毎年、それぞれ80万頭ずつ捕獲しなければならないとされる。

 捕獲には、猟銃によるもの、ワイヤーで足をくくる「くくりワナ」、箱形のおりに誘い込む「箱ワナ」がある。これまでは捕獲した鳥獣のほとんどが埋設されたり焼却処分されたりしてきた。「命を無駄にしたくない」――そうした思いから、今、官民を挙げて、捕獲した鳥獣を食肉として活用する取り組みが進められている。

 食材として捕獲された野生鳥獣はフランス語で「ジビエ」と呼ばれる。かつて自分の領地で狩猟ができる上流階級の貴族が口にする高級食材として愛されてきた。日本では2016年になって初めて、ジビエを食品として利用する際の法律が定められた。

 ジビエを食べることは、栄養的にもメリットがある半面、課題も多い。

 メリットとしては、シカ、イノシシともに、他の食肉に比べ、鉄分、ビタミンB2とB12、亜鉛を豊富に含んでいることだ。特に認知症予防につながるとされるビタミンB12は豚モモに比べ、シカでは4.3倍、イノシシには5.7倍も含まれている。

ジビエの栄養価
ジビエの栄養価

 課題は、リスクだ。生または加熱が不十分なジビエは、E型肝炎ウイルス、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、寄生虫などのリスクがあり、重症の場合は死に至ることもある。

 そのため、衛生管理のガイドラインを順守した加工施設で処理された食肉を使い、調理器具を適切に扱い、十分に加熱することが重要になる。

 そのため、「猟師直送」をうたうネット通販や、知り合いの猟師が持ち込んだ食肉などは全て違法だ。2016年12月に茨城県のイタリア料理店で、顧客が持ち込んだ熊肉が原因で寄生虫による食中毒事故が発生。その店は営業禁止処分を受けたという事例もある。

 2017年9月末、「エコール辻東京」(東京都国立市)で、国産ジビエ流通規格検討協議会が主催する、プロを対象とした「国産ジビエ料理セミナー」が行われた。野生動物は家畜と違って運動量が多いため、筋肉が発達している。そのため、火を通しすぎると、肉が硬くなり、水分が抜けてパサパサになる。硬くなるとくさみも出てしまう。しかし、加熱が不十分だと細菌や寄生虫が死滅しない。その上、家畜と違って、野生動物の肉は性別や年齢、何を食べていたかなどの条件がまちまちで、肉質の個体差が極めて大きい。プロでも一筋縄ではいかない難しい食材だ。

 セミナーでは調理実習も行われ、「鹿肉のポワレ」が紹介された。作り方はこうだ。まず、フライパンに大量のバターを入れて火にかける。バターが少し溶けたら塩を振った肉を入れ、バターが焦げないように気を付けながら、肉の上からスプーンで溶けたバターをかける。肉に焦げ目がつかないよう弱火にして、5分30秒、ときどき裏返しながら、バターをかけ続ける。その後、火からおろし、5分30秒休ませる。次に200度のオーブンで1分30秒加熱した後、4分30秒休ませてからカット。肉の上から触ると、十分な弾力がある。カットされた断面は美しいロゼ色だ。おいしさを保ちながら安全とされる加熱条件は、肉の中心温度が65度なら15分、70度なら3分、75度なら1分だという。

シカ肉に塩を振る
シカ肉に塩を振る
鹿肉のポワレ2
バターを焦がさないように注意しながら、肉の上からかけ続ける
カットすると、美しいロゼ色の断面が現れる。肉は軟らかく、くさみもない
カットすると、美しいロゼ色の断面が現れる。肉は軟らかく、くさみもない

 長野県茅野市のフランス料理店「オーベルジュ エスポワール」のオーナーシェフで日本ジビエ振興協会代表理事の藤木徳彦氏は「シカやイノシシだけでなく、狩猟対象のケモノ全てがジビエ。エスポワールは狩猟期間の冬場、動物園みたいだとお客さんに言われる。カラス、ウサギ、ハト、カモ…。去年、一番お客さんに喜ばれたのはハクビシンだった」と話す。「捕獲鳥獣の食肉利用、などと難しいことを言うのではなく、魅力的な食材をメニューに加える、ということで取り組んでみてほしい」と飲食店のプロたちに訴えた。

藤木徳彦さん
藤木徳彦さん

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