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「陸海空の現場~農林水産」豊かな海を取り戻すために

写真はイメージ

 日本は水産王国で、今も昔も豊かな海の恵みを享受している―そう信じている人は多いのではないだろうか。

 和食は海の恵みをベースとして発展してきた歴史ある料理体系で、今では食のキラーコンテンツとして世界から注目を集めている。このコロナ禍においても回転寿司チェーンは毎日、盛況だし、スーパーに足を運べば冷蔵ケースには毎日欠かさず、さまざまな魚がたくさん並んでいる。

 しかし改めて統計を眺めてみると、実は随分前から異変が起きていることに気づくはずだ。

 農林水産省「漁業・養殖生産統計」によると、日本の水産物生産量のピークはなんと35年以上も前の1984年で1282万トン。その後は雪崩を打ったように減少を続け、2019年には416万トンと、ピークの3分の1以下に落ち込んだ。

 同省の「食料需給表」によると、食用水産物の自給率も113%を記録した1964年からどんどん下がり、1990年代に50%台に突入して以降、現在に至るまで上向いていない。

 日本の海の魚が減り、私たちが食べている量の半分近くを輸入水産物で賄う状況が、20年以上も続いているということだ。

 まさか、と思う方がいるなら、一度スーパーに並ぶ魚のパッケージをよく見てみてほしい。鮮魚も加工品も含め、サバはノルウェー産、カレイはアメリカ(アラスカ)産、ホッケはロシア産の表示があるものが多いだろう。シシャモはアイスランド産で、サケはチリ産やノルウェー産、タコはモロッコやモーリタニア産がほとんどだ。

 水産庁が発表している最新資源評価(2018年度)によると、日本周辺水域の資源評価対象魚50種84系群のうち、約半数の49%が資源水準「低位」にある。カツオもアサリも、スルメイカもアワビも、そしてアナゴもホッケも…、絶滅危惧種に指定された太平洋クロマグロやニホンウナギ、ここしばらくは毎秋メディアをにぎわせるサンマだけではなく、多くの魚種が激減しているのだ。

 その要因には海洋環境の変化なども含めいろいろあれど、過剰漁獲、つまり獲りすぎてしまった魚種も数多いとして2018年末、水産庁は大型水産改革を開始した。豊かな海をもう一度取り戻すため、漁業法を70年ぶりに大きく改正し、新しい資源管理方針を打ち出したのだ。

 「将来にわたって持続的な水産資源の利用を確保するため、新漁業法においては、水産資源の保存及(およ)び管理を適切に行うことを国及び都道府県の責務とするとともに、資源を…維持または回復させることを目標と(する)」。(「水産白書 令和元年版」)

 資源管理でずっと先を行く欧米諸国に比べ、スタートが遅すぎた感はあるものの、海の回復力がカバーできるタイミングにぎりぎり間に合ったと信じたい。

(フードジャーナリスト 佐々木 ひろこ)

 

(KyodoWeekly5月3&10日号から転載)

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