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「陸海空の現場~農林水産」食料の他国依存度高い日本

 新型コロナ禍は日本の社会経済に衝撃を与え始めた。2月27日の安倍晋三首相の突然の臨時休校要請は国民生活を混乱させ、どんな副作用をもたらすのか不透明だ。臨時休校で学校給食が中止となれば食材を供給する関連業者を直撃する一方、児童・生徒の栄養確保にも問題が起こりかねない。「子ども食堂」に依存する人たちへの対応は大丈夫なのか。問題の深刻さがようやく見えてきた。

 当初、インバウンド(訪日外国人客)需要や企業活動の落ち込みなどが心配された新型コロナ禍。だが、問題の食料でも「高度他国依存国」ニッポンへの影響が懸念されたが案の定、中国国内での収穫や出荷作業の停滞で主要野菜の輸入が軒並み急減。一時は前年より9割減になる品目も。たまたま暖冬で国産野菜が豊作とあって価格は落ち着き、騒動にはならないできたが、「不作年なら大混乱の恐れもあった」(市場関係者)という。

 中国は米国に次ぐ農産物の対日輸出国。2019年の中国からの輸入額の13%を占める。例年今頃は加工用のタマネギ、キャベツ、ネギ、ニンジンなどの輸入時期。台風などで秋冬野菜の生産が不調な時は、より中国頼みとなる。

 しかし、今年は新型コロナ禍で中国の国内供給体制がストップ、2月初旬の入荷はキャベツがほとんどなく、タマネギ、ゴボウなどで8~9割減と激減状態となった。国産が豊作で、冷凍もので手当てできた野菜があったほか「イベントは中止になるし、夜の宴会も自粛気味で需要が鈍くなっている」(市場筋)ため、家計に直結する野菜価格への不満は今のところ起きていない。

 ただ、ここにきて情勢は変わってきた。米疾病対策センター(CDC)の担当者が「パンデミック」(世界的流行)に言及し、実際、南極以外のすべての大陸で感染が確認された中、今後、農産物をはじめすべての物流への影響が懸念される段階になったからだ。

 明治大教授の小田切徳美氏は新聞紙上で、今後の食料政策の検討は「気候変動などの環境制約やグローバリゼーション、自然災害などを意識しなければならない」と指摘していたが、まさに昔なら「中国の地方の風土病」だったのが、数カ月で地球全域に拡散する時代になった。

 一方、輸入とは別に国内農業への影響も心配だ。今回の感染騒ぎが仮に、農業地帯に広がり農作業ができなくなったらどうなるか。その事態はまさに対岸の中国で起きている。習近平国家主席は2月23日、新型コロナウイルスの感染抑制で余儀なくされている農作業の停滞に対し、「著しい問題」と対応に檄(げき)を飛ばした。農作物や食品の価格が高騰し、国を揺るがす社会不安を恐れているからだという。対岸の火事ではすまない事態だ。

農政ジャーナリスト 小視曽 四郎(おみそ・しろう)

 

(KyodoWeekly3月16日号から転載)

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