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外貨での資産運用の注意点 人生100年時代のマネー設計⑤

 人生100年時代に向けたマネープランの解説も5回目です。今回は外貨預金について、ファイナンシャルプランナーの資格も持つ、日本総研の小島明子さんに基本から説明をしてもらいます。言うまでもありませんが、金融商品への投資はリスクが伴います。(編集部)

 

 多くの方がご存じの代表的な金融商品としては、銀行で取り扱っている外貨預金が挙げられます。また、主に証券会社で提供されている、外貨建ての投資信託や外貨建てFX(外国為替証拠金取引)、外国債券、外国株式なども挙げられます。本稿では、外貨預金を中心に取り上げます。

   ×  ×  × 

 Q 外貨預金とは何か。

 A 外貨預金とは、円貨を外貨に換えて、外貨で運用する預金のことです。円と同様に、普通預金と定期預金があります。普通預金は満期がなく、いつでも預け入れや引き出しができます。定期預金は、いつでも預け入れはできますが、引き出し(解約)は原則として満期時となり、満期までの期間は原則として中途解約はできなくなっています。制約がある分、普通預金よりは金利が高く設定されることが多くなっています。

 Q 外貨預金のメリットは。

 A 現在、日本では金利が低いため、銀行の定期預金に円で預け入れをしていても利息はわずかです。しかし、海外では、日本よりも金利の高い国があるため、金利の高い国の通貨で預金をすれば、その国の通貨で高い利息を受け取ることができます。

 Q 注意点は。

 A 将来、外貨預金を円に戻すことを前提として運用されている場合、為替相場の影響には注意が必要です。最初に外貨に換えた時に比べて、預け入れしていた外貨を円に換える時に円安になっていれば、為替による利益が生まれます(為替差益)。しかし、円高になっていれば、為替による損失が発生します(為替差損)。

 Q 手数料はかかるのか。

 A 円から外貨にする時、あるいは、外貨から円にする時には、手数料がかかります。

 円を外貨にする時の為替レートは、「対顧客電信売相場(Telegraphic Transfer Selling rate)」(TTS)と呼び、外貨から円にする時の為替レートは、「対顧客電信買相場(Telegraphic Transfer Buying rate)」(TTB)と呼びます。

 仮に1ドル110円の時に、手数料が1円の場合、10万円を交換すると約900・90ドル(10万円÷111=900・90ドル)になります。同様の条件で、900・90ドルを円に戻すと、約9万8198円(900・90ドル×109=9万8198円)となります。

 往復の手数料(前述したケースでは往復手数料2円)以上に為替が円安になるか否かが、円に戻した時に、手数料で損失を出さないための判断基準となります。

 Q 税金はどうなるのか。

 A 外貨預金については、利息に対する税金と、為替差益に対する税金が課税されます。

 利息に対しては、20%(ただし、2037年12月31日までは復興特別所得税が含まれるため20・315%です)が課税されます。源泉分離課税のため確定申告は不要です。為替差益に対しては、雑所得として総合課税となるため、確定申告が必要です。

 ただし、年収2千万円以下の給与所得者であり、為替差益を含めた給与所得および退職所得以外の所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。(詳細については、税理士など専門家にご相談ください)

 Q 金利が高い外貨預金の表示を見た時は、どのようなことに注意が必要か。

 A 円の預金と同様ですが、表示されている金利は、あくまでも1年間預け入れを行った時に得られる年利率であることに注意が必要です。一見、表示されている金利が高くても、預け入れ期間が限定されている場合、高い金利の適用対象は、その預け入れ期間のみです。預け入れ期間で得られる利息額をきちんと計算された上で、検討されることを推奨いたします。

 Q 外貨預金の使い道は。

 A 銀行によってサービスの内容は異なりますが、預け入れした外貨を円に戻さずに、海外旅行の時などに、海外のATMでの引き出しや、デビットカードでの決済通貨としての使用、海外への送金などに利用ができます。手数料などには注意が必要ですが、ライフスタイルに合わせて、上手に活用していかれるとよいと思います。

 金融庁「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月)」によれば、外貨預金を保有した経験のある人は約1割未満です。しかし、自分が保有している円をまず外貨に換えてみることは、海外への投資に目を向ける第一歩だと言えます。

 今回は銀行で取り扱っている外貨預金を取り上げましたが、証券会社まで視野に入れると、外貨を元手に、外国の債券や株式などまで幅広く投資することが可能です。

 海外へ投資対象を広げてみると、投資先の国の経済や政治への関心も高まるなど、沢山の気づきが得られます。金融商品である以上、商品の仕組みやリスクなどをきちんと理解することが必要ですが、運用手段の選択肢の一つとして、一度調べてみてはいかがでしょうか。

 (本稿は、執筆者が情報提供のために執筆したものであり、特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません)

[筆者]

日本総合研究所 創発戦略センター ESGリサーチセンター

小島 明子(こじま あきこ)

 

(KyodoWeekly10月21日号から転載)

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