経済
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令和で財政健全化を

 令和元年の今年、10月に消費税率が10%に引き上げられた。2度にわたる延期の末、増収分の使途の変更、軽減税率導入と合わせた引き上げとなった。

 平成時代に公債残高が累増し、悪化した財政赤字の改善に向けては、不十分ながらも前進した。

 ただ、日本の財政状況が非常に悪化している状況に変わりはない。国と地方の長期債務残高の対国内総生産(GDP)比が200%超におよび、主要先進国の中で最も高いからだ。

 債務残高がGDPの2倍という水準は、過去、第2次世界大戦末期に達した時しかない。今後、高齢化に伴う社会保障費の増加による債務残高の拡大も避けられない。

 幸い、今の日本の財政状況が早晩、危機的事態を招く、あるいは破綻を起こすというわけではない。日本銀行の金融緩和政策により、超低金利であるため、巨額の公債残高にもかかわらず、公債の利払い費が抑えられてきた。

 しかし、公債金利が上昇(公債価格下落)していくようになれば、巨額債務の問題は顕在化する。金利上昇、利払い費の兆円単位での増加により、財政運営は非常に厳しくなる。これを市場が財政運営の危機と認識すれば、さらに金利上昇という悪循環に陥る。

 また、最近自然災害が相次いでいるが、仮に首都直下地震や南海トラフ地震といった大規模災害に見舞われたら財政危機はたちまち表面化する。災害による税収の大きな落ち込み、巨額の復興事業支出により、財政赤字は急激に拡大し、財政危機に至るのは現実味のあるシナリオといえる。

 では、財政危機を表面化させないため、財政健全化にどのように取り組むべきか。識者の議論、海外事例からまとめてみると、中期財政フレーム、財政ルール制定、独立財政機関という三つが代表的なものとなる。

 中期財政フレームは、単年度予算を維持しつつ、中期(3年程度)の経済・財政見通しに基づき予算編成・財政運営が行われるものである。財政ルールの制定は、法律その他の強制力があるものにより、財政健全化目標や歳出ルールなどを定めて財政規律を課すものである。どちらも、政治的に財政規律が緩みがちになるのに歯止めをかけられるという利点がある。

 独立財政機関は、財政当局から独立し、経済・財政運営見通しを作成・公表し、財政問題や予算編成に関し政府へ助言・意見表明を行う機関である。欧米には設置例が数多くある。国民も含めた財政健全化の現実的な議論を深めるためには、日本にも独立財政機関を設置することが望まれる。

 こうした財政健全化を実効あらしめる制度の下、歳入・歳出一体での改革により、令和時代の早期に財政健全化を達成すべきだ。

 なお、最後に米国で提唱されている「現代貨幣理論」についてコメントしておく。

 この理論では、自国通貨を持つ国は財政赤字を拡大させても財政破綻しないという。デフレ下の資金余剰時には財政赤字の継続は可能だが、デフレ脱却後はインフレ率の急進を招きかねない。財政赤字の継続的拡大を容認する極端な考えには賛成できない。

(アジア太平洋研究所 主席研究員 藤原 幸則)

 

(KyodoWeekly10月7日号から転載)

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