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住まいを守るための保険 人生100年時代のマネー設計④

 9月の台風15号は、千葉県内などに大きな被害をもたらしたほか、大規模停電が発生、市民の生活に多大な影響を及ぼした。「災害列島」ともいわれる中、持ち家を守るための保険について、専門家に解説してもらった。(編集部)

 

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発行した特別報告書によれば、地球温暖化が進むと、早くて2030年には、世界の平均気温が産業革命前より1・5度上昇し、自然災害リスクが高まると予測されています。

 今後、住まいを守る上では、火災、地震のみならず、さまざまな自然災害リスクに備えることが必要です。

  ×   ×   ×

 Q 災害で持ち家が壊れた場合、公的な支援はあるのか。

 A 「被災者生活再建支援制度」があるため、災害により住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金が支給されます。

 しかし、支給される金額は最大でも300万円です。災害が発生した際に、生活を再建するために必要な金額を想定し、保険や共済への加入、貯蓄などで備えることが求められています。

 本稿では、持ち家を守るための保険について述べます。

 Q 持ち家を災害から守るために、どのような保険商品があるのか。

 A 災害からのリスクに備える保険としては、火災保険が挙げられます。火災保険は火災による被害のみを補償する保険ではなく、住まいに関わるさまざまなリスクを補償する保険です。

 Q 火災保険に加入する場合、保険をつけるのは建物のみなのか。

 A 保険をつける対象となる物を「保険の目的」といいます。一戸建て住宅、分譲マンションなど建物自体を所有されている方であれば、「保険の目的」は、主に「建物」と「家財」双方を対象として保険をつける必要があります。

 Q 保険金額の設定時の留意点は。

 A 保険契約について覚えておくべき重要な用語として「保険金額」と「保険価額」があります。

 「保険金額」は、保険契約において設定する契約金額のことで、事故が発生した場合に保険会社が支払う保険金の限度額となります。「保険価額」は、同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、「使用による消耗分」を控除して算出した金額となります。

 十分な補償を受けるためには、適正に算定された「保険価額」に相応する「保険金額」を設定する必要があります。

 Q 火災保険に加入し、自宅が全焼した場合、同じ家を建て直せるだけの補償を受けられるのか。

 A 火災保険で「保険金額」を設定するには、時価をもとにする方法と、再調達価額(新価額)をもとにする方法があります。再調達価額とは、同等の物を新たに建築あるいは購入するのに必要な金額を言います。時価をもとに設定する場合、建物の価値が再調達価額よりも下がるので、同じ建物を新築することはできません。

 保険金で建て直したい場合は、再調達価額をもとに保険金が支払われる契約とすることが必要となります。特約の付帯も含めて、保険会社に十分かつ慎重に確認した上で契約をされることをお勧めします。

 

税金面のメリット

 

 Q 火災保険は、火災以外にどのようなリスクを補償してくれるのか。

 A 基本的に、火災保険は、水災や給排水設備の事故などに水漏れ、風災・ひょう災・雷災、盗難など住宅を取り巻くさまざまなリスクを総合的に補償するタイプ(住宅総合保険)と、基本的リスクだけを補償するタイプ(住宅火災保険)に分かれます。

 最近では、自由化により保険会社が独自の商品を提供しています。保険契約時には、保険商品の内容をよく確認され、希望する補償内容の商品を選択されることが重要です。

 Q 火災保険は不要なので、地震保険のみ契約を行うことはできるのか。

 A 地震保険は火災保険にセットしなければ契約できません。一般的な火災保険では、地震、津波、火山の噴火による被害は補償されませんので、これらに備えるためには、地震保険を付帯する必要があります。

 地震保険の保険金額は、建物と家財ごとに、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で定めます。

 ただ、同一の建物や家財について加入された他の地震保険契約と合算して、建物は5千万円、家財は1千万円が限度となります。保険料は、建物の構造や建築年、地域によって異なります。

 Q 火災保険は税金面のメリットはあるのか。

 A 特定の損害保険契約などに係る地震等損害部分の保険料を支払った場合、一定の金額の所得控除を受けることができます。これは地震保険料控除といわれます。確定申告、あるいは、年末調整を通じて控除を受けられます。

 内閣府の試算(防災情報のホームページ)によれば、火災補償の加入割合は、2880万件(82%)、水災補償の加入割合は、2307万件(66%)、地震補償の加入割合は1732万件(49%)となっています。

 火災補償に比べて水災補償や地震補償の加入割合は、いまだに低いことが分かります。火災保険の契約内容によっては、支払う保険料は増えますが、補償範囲を水災、地震まで広げることができます。

 自然災害が増えている昨今、加入されている火災保険が想定される災害リスクについて必要な補償が設定されているか、保険契約を確認されることが大切です。

 マンションの場合は、専有部分のみならず、共有部分についても、管理組合などが火災保険に加入しているか、加入していたとしても、備えるべきリスク(例・水災や地震など)に関する補償が、含まれているかどうかを確認されるとよいでしょう。

[筆者]

日本総合研究所 創発戦略センター ESGリサーチセンター

小島 明子(こじま あきこ)

 

(KyodoWeekly10月7日号から転載)

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