経済
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規制改革推進体制の再構築を 7月末に迎える設置期限

 「規制緩和」一辺倒から「規制改革」へ。公正な市場を支える番人であり、新たな製品・サービスを生み出す契機になる規制の在り方が問われている。規制改革推進会議が今年7月末に設置期限を迎えるため、推進体制の再構築が不可欠だろう。

 

 2019年6月6日に規制改革推進会議が「規制改革推進に関する第5次答申~平成から令和へ~多様化が切り拓(ひら)く未来~」を答申した。

 この答申は「総論」「各分野における規制改革の推進」「行政手続コストの削減」に分けられており、各分野としては農林水産・医療介護・保育雇用・投資など広範な分野が議論された。

 一方、今後必要な規制改革を実現するための推進体制の在り方に関する議論は限定的である。

 規制改革推進会議の後継組織を迅速に立ち上げることや、規制改革措置が実現していない項目のフォローアップ、未来投資会議・経済財政諮問会議・国家戦略特別区域諮問会議との連携については、答申文言として示されているものの、具体的な内容とはなっていない。

 

政府に求める四つのもの

 

 規制改革推進会議による第5次答申に先立つこと約3カ月前、3月19日に経団連は「規制改革の推進体制の在り方に関する提言―Society(ソサエティー)5・0の実現に向けて政府一丸となった対応を求める―」を公表した。

 筆者はその提言を作成した経団連の行政改革推進委員会規制改革推進部会で、昨年12月中旬に「地域単位・企業単位の規制改革制度の現状と課題」と題した講演を行った。その後も経団連事務局と何度か議論し、提言案に対しても助言した。

 この提言ではまさに、規制改革推進会議で限定的な言及となっている、推進体制の在り方に関する議論を行っている。

 この提言の構成は、「規制改革をめぐる現状」「規制改革の推進に向けた取り組み」である。 規制改革の推進に向けた取り組みでは、政府に求める四つのものとして①規制の見直しの実効性確保②統合的な推進機関の構築とチームワークの発揮③事務局体制と制度の拡充④地方における規制改革の推進―などが挙げられている。

 その他、規制改革の「哲学」の設定や経団連の取り組みにも言及している。

 詳しくはこの提言をご覧いただきたいが、特に重要なポイントを整理すると、以下のようになる。

 先に指摘した政府に求める四つの取り組みのうち「①規制の見直しの実効性確保」については、規制の政策評価の一層の改善が求められている。

 規制を所管する府省の作成する評価書の定量分析の充実や、評価書の早期提示・活用、省令・告示レベルへの評価書作成対象範囲拡大(影響大の場合)などが挙げられている。

 「②統合的な推進機関の構築とチームワークの発揮」については、国家戦略特別区域諮問会議や、新戦略推進専門調査会などの規制改革に関する機能を発展的に分離・統合し、規制改革を一元的に担う「規制改革統合本部(仮称)」の新設が求められている。

 この組織では、①に関連して府省が行う規制の政策評価の妥当性を判断し、エビデンス(証拠)に基づかなければ規制導入・見直しができない仕組みを導入する。

 ちなみに、筆者も各国制度調査研究に携わったが、諸外国では質の低い評価書の場合、第三者機関が規制導入・見直しを差し止めることができる。

 ただ、この実現には政策評価法に定められた「府省ごとの自己評価」の枠組みを変える法改正が必要となる。

 

具体的な働き掛け

 

 規制改革統合本部(仮称)の組織は、規制改革推進組織と規制を所管する府省が政府が一つのチームであることを強く意識することが不可欠だ。その上で、規制所管府省の取り組みについて柔軟に意見交換を行い、既得権を失う関係者との調整などでも必要な支援を行う。

 規制を所管する府省に求めるだけではなく、規制改革推進組織も規制改革実現のために、実際に具体的な働き掛けをしていくことが極めて重要である。

 経団連の取り組みとしても、重点テーマを設定し具体的な提言を取りまとめることや、要望もコンサルテーションを行いながら実現を支援するなど、要望作成の方法の見直しに言及している。

 経団連として自らできることは最大限に行いつつ、規制改革の在り方の見直しを本質的かつ、広範に提言した、「規制改革の推進体制の在り方に関する提言―Society(ソサエティー)5・0」の内容が、今後の規制改革の推進体制の在り方の議論に少しでも考慮されることを期待したい。

[筆者略歴]

富士通総研経済研究所主任研究員

若生 幸也(わかお たつや)

専門は政策評価・地域政策・自治体経営。政策評価などに関する府省受託調査や自治体経営改革支援に取り組む。現在の研究テーマは規制改革と官民連携

 

(KyodoWeekly7月8日号から転載)


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