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「はじめの一歩」~GAFA① ネット時代の強い巨人たち

 グーグルやアマゾンなど、インターネット上で圧倒的な存在感を誇るIT(情報技術)の大手企業は、代表的な4社の頭文字をとってGAFA(ガーファ)と呼ばれる。いまや私たちの生活に欠かせなくなった彼らの実像に迫り、さまざまな課題を考える。初回は「ネット時代の巨人たち」の強さを概観する。シリーズは5回を予定。

 

 Q 最近、よく耳にするGAFAって何のことですか。

 A グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社の頭文字をとった総称です。それぞれインターネット検索やSNS(会員制交流サイト)などのサービスで圧倒的な知名度と影響力を持つ事業者です。

 いずれも起業家精神旺盛な米国西海岸を中心に発祥した企業で、2010年ごろから目覚ましい成長を遂げました。高品質と便利さといった価値を徹底的に追求し、世界中のユーザーから支持を集めた点が共通項です。私たちの日々の生活で、この4社のサービスを全く使わずに済む日はおそらく1日とてないでしょう。

 GAFAのうち、アップルの代わりに動画配信サービスのネットフリックスを加えた「FANG」、中国の検索大手、百度(バイドゥ)、ネット通販のアリババ集団、ネットサービスの騰訊控股(テンセント)の頭文字を加えた「GAFA+BAT」など、いくつかの呼び方があります。

 

情報のインフラ

 

 Q プラットフォーマーという呼び方もありますね。

 A プラットフォームは「基盤」「場」などの意味で、プラットフォーマーはその運営者ということになります。電気やガス、電話などに置き換えて考えると分かりやすいですが、それぞれ専門の企業体が電線やガス管、通信網などの設備を張り巡らせてサービスを提供しています。

 GAFAは、いまや生活の一部となったネットサービスを全世界的に供給する情報のインフラ(社会基盤)といえるでしょう。

 Q 4社の規模のイメージがつかめないのですが。

 A 4社の合計売上高(2018年12月期)は約6900億ドル(約76兆円)。単純比較をすると、スウェーデンやベルギーといった国の国内総生産(GDP)を上回る規模です。株価から算出した企業価値を示す時価総額を4社合計でみると、一時は3兆5千億ドルを超えたこともあり、文字通り国家レベルの富が、このビッグ4に集中していることがわかります。

 Q 4社はそれぞれどんな道を歩んできたのですか。

 A まず、グーグルについてです。スタンフォード大学でコンピューター工学を学んでいたラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンの2人が創業したのは1998年。彼らが開発した高速の検索エンジンは、収集したウェブサイトに索引を付け、独自の評価システムで順位付けをし、瞬時に結果を表示する、その品質の高さが検索の世界を一変させました。その後、ヤフーに採用され、その地位を確立したのです。

 このところ収益力にやや陰りが見えてきたとはいえ、検索エンジンの世界シェアは9割を超え、主力のネット広告収入のほか、傘下の動画配信サイトであるユーチューブの好調などに支えられています。

 

洗練されたデザイン

 

 Q アップルといえば、マッキントッシュ(Mac)のイメージが強いのですが。

 A 遊び心満載のモノづくり精神は、Macユーザーの絶大な支持を得て独特の世界観を生みましたが、1990年代後半にパソコンのOS(基本ソフト)を巡る競争でマイクロソフトのウィンドウズに後れをとり、一時は経営危機すらささやかれました。

 創業者のスティーブ・ジョブズが正式に経営に復帰したのは2000年。その後、インターネットサービスの主舞台がパソコンからモバイル端末へと進化していく過程で投入したiPhoneやiPadなどが大ヒットしました。新技術という枠を超えて新たなライフスタイルを提案し、洗練されたデザインとともに多くの人の共感を得て、iPhoneは今や全世界で9億台が稼働中といいます。

 Q フェイスブックはSNSの最大手ですね。ユーザーは国境を越えた「友達」とのネットワークを築いています。

 A 2004年、ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが学生同士の交流に使おうと、大学のシステムに不正に侵入して立ち上げたサイトが始まりです。

 ユーザーは個人情報を登録し、日常的な出来事や趣味、関心事などを書き込みます。たとえ見知らぬ相手でも、そんな接点で共感できればネット上でいつでもつながり合える新しいコミュニケーションツールとなりました。

 ユーザー数は23億人を超え、世界人口のざっと3人に1人が使っている計算です。「インスタ映え」という言葉で有名になった画像投稿サイトの米インスタグラムも傘下に収めています。

 

常識や定説にこだわらず

 

 Q アマゾンはネット通販で伸びましたが、小売業の経験もなくなぜ成長できたのですか。

 A 創業者であるジェフ・ベゾスの経営哲学によるところが大きいでしょう。ベゾスは大学でコンピューター工学を学んだあと、ウォール街で金融トレーディングシステムの開発に携わっていました。小売業の素人であればこそ、既存の常識や定説にこだわらず、効率と最適化理論に沿ってビジネスを設計できたのかもしれません。

 アマゾンを利用したことのある方ならご存じと思いますが、ある商品を買おうとすると、購入した人の評判をチェックできるほか、ほかにも自分が好きそうな商品を薦めてくれる機能があります。

 複数店を回って価格を比べなくても、またすでに購入した友人知人を探し出して感想を聞かなくても、必要な情報を提供してくれます。

 

厳しい視線

 

 Q 最近、GAFAに対する批判が起きているという報道を見かけます。どんな問題が生じているのですか。

 A GAFAは異例の急成長を遂げ、市場を支配し、それぞれの分野で業界地図を塗り替えてきました。ただ、今起きているのはもはやライバル事業者との衝突ではなく、国家レベルの秩序や法体系との緊張です。

 たとえば個人情報を収集し利用するルールや、法人課税のルール、あるいは市場の独占を排除し公正な競争を促すルールなど。次回以降、GAFAに注がれる厳しい視線と、そこに横たわる課題を順に探っていきます。(敬称略)

[筆者]

日本経済新聞社・法務室

竹内 敏(たけうち さとし)

 

(KyodoWeekly6月17日号から転載)


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